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怖るべき天才児

怖るべき天才児

『怖るべき天才児』作リンダ・キルト/画ミヒャエル・ゾーヴァ三修社
ミヒャエル・ゾーヴァの挿絵目的で買ったんだけど、なかなかの異色短篇集。


・「幼子の口から」
 叔母さんに、嘘をついたら口からカエルが出る呪いをかけられた少女。
 カエルを見られたくないため、正直にならざるを得ず、周りから浮いた存在に。
 成長し、両生類研究の大学に進学するが……


・「回想録」
 帳簿から消えた金を追求される男。
 全く記憶にないという。
 彼は幼い頃から、ひどく忘れっぽかった。


・「ふつうすぎたノーム」
 あまりにも普通すぎて、誰の記憶にも残らないノーム。
 ある日、彼は自分の足が速いことに気づく。
 しばらくして、オリジナルの走方を身につけるが……


・「狡猾な赤ん坊」
 姉妹で見分けがつかないほどソックリな双子の赤ちゃん。
 しかし、実は姉は超天才児だった。
 政府にそれが知られ、研究対象なるが……


・「蒸発」
 ビーゴンと名付けられた口数少ない少年。
 ある日、自分の名を言うと、目の前にあるものが消えてしまうことに気づく。


・「眠り姫」
 1日のほとんどを寝ている少女。
 彼女はそのまま成長し、仕事中も寝てしまう始末で……


・「存在の限りない軽さ」
 風船のように浮いてしまう少年。
 彼は成長し、寺院の絵画の修復家となるが……


物語の発端も、オチもすべてがワンアイデアだけで完結しているのがいいなぁ。そのほとんどがなんじゃそりゃ的な能力で、それを生きる糧にするのもいい。
子どもはみんなそれぞれ違うのが当たり前で、それぞれの個性を伸ばしていくべき、というメッセージ? いや、ただ面白いだけだろうな(笑)
お気に入りは、「幼子の口から」「蒸発」「存在の限りない軽さ」あたり