PRIDE AND PREJUDICE AND ZOMBIES

高慢と偏見とゾンビ ((二見文庫 ザ・ミステリ・コレクション))

高慢と偏見とゾンビ ((二見文庫 ザ・ミステリ・コレクション))

高慢と偏見とゾンビジェーン・オースティン&セス・グレアム=スミス〈二見文庫オ1-1〉
まさか、翻訳されるとは思ってませんでしたよ!

18世紀イギリス。奇病によりゾンビがあふれていた。田舎町ロンボーンで暮らすベネット家の五姉妹は少林拳を修めた優秀な戦士。ある日、近所に独身の資産家ビングリーがやって来る。ベネット夫人は娘たちを引き合わせようと、早速舞踏会の約束をとりつける。長女のジェーンとビングリーはお互い好印象のようだが、ビングリーの親友であるダーシーの気むずかしく、高慢な態度に次女のエリザベスは反感を抱く。親密になるジェーンとビングリーだが、突然ロンドンに帰ってしまう。ダーシーが二人の仲を引き裂こうとしていると知ったエリザベスは激怒する。しばらくして、そんなダーシーから求婚されるが……

見ての通り、完全な出オチのパロディ小説。
思ってた以上にオリジナルの形を保っていて(十分アレだけど)、ストーリーも文章もそのまんま。所々ゾンビやら少林拳に差し替えられてて、全体よりもそのマイナーチェンジぶりを楽しむ小説。だから、未読なら『高慢と偏見』を読んでおくことをオススメ。生まれて初めて、予習の素晴らしさを実感しましたよ(笑)
まず、登場人物紹介から、見覚えのない名前が一名。その後は、死の五芒星、鶴の構え、ニンジャ、纏足、ナレズシ、と変な東洋趣味が炸裂。
キャラクター造形は基本的に変わってないんだけど、エリザベスだけは、頭の回転が速いわけではなく、バーサーカーというか、完全にバーバリアン(笑)あと、ジェインと別れさせようとした理由は、こっちの方が理解しやすいかも。
激しい改変を期待しているとホントに肩すかしなんだけど、シャーロットはカワイソすぎ。一方、ウィカムの扱いは笑える。これは、彼は痛い目に遭うべきだ、という読書会の長い歴史の共通認識? レディ・キャサリンは予想通り、『キル・ビル』です。
個人的に一番ウケたのは、巻末にちゃんと読書の手引きがついてること。これは、ジェイン・オースティンの読書会(とゾンビ)を開くべきでないの?
オリジナルとセットでオススメ。
来たる日のために、『分別と多感』も準備しておくか。


よくも、こんな小説を出してくれたことに感謝。でも、表紙はつまらないなぁ。『プルトニウム・ブロンド』*1も『暗黒太陽の浮気娘』*2も原著*3の方がキッチュでいいのに、なんで日本はおとなしくしちゃうんだろ? どうせ色物なのに。