鉄腕ゲッツ行状記

鉄腕ゲッツ行状記―ある盗賊騎士の回想録

鉄腕ゲッツ行状記―ある盗賊騎士の回想録

『鉄腕ゲッツ行状記―ある盗賊騎士の回想録』ゲッツ・フォン・ベルリヒンゲン〈白水社
16世紀ドイツの、無頼な騎士とも盗賊とも称されるゲッツ・フォン・ベルリヒンゲンによる自叙伝。


鉄腕ゲッツの名の通り、右手は精巧に作られた鉄の義手。おおっ! 足りないのは鉄板と見まがうばかりの大剣だけじゃん!(違います)
それを期待して読むと、手に関する話はあまり出てこず、肩すかし。
その代わり、中世から近世への過渡期の騎士の生活が面白い。
大砲が現れているため、それまでの騎士的な仕事は戦場からなくなっていた。彼らはどうやって生計を立てていたかというと、名誉や権利を侵されたと言いがかりをつけて貴族や商人を人質に身代金を取っていたのだ。
ただ、簡単ではなく、大勢の傭兵を雇って、それでも失敗したり、逆襲されたり。そんな中でゲッツはかなり稼いでいたようで、金貸しもやっていたとか。また、かつての傭兵仲間や友人を標的にすることも少なくなく、そういう時は危害を加えず、取り敢えず人質に(笑)
なんか寅さんみたいな感じもあって、ホントかよ? という武勇伝も語られているんだけど、他の史実と比べても同じことが記されていて、けっこう正確だとか。