ダイナー

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『ダイナー』平山夢明ポプラ社

ひょんなことから、殺し屋専用の定食屋でウェイトレスをやるハメになってしまったオオバカナコ。そこはたいした理由がなくても、簡単にウェイトレスが殺される場所。常軌を逸したマスターと客を相手に、カナコはいつまで生き延びることが出来るのか?

日活アクションのような無国籍風ダイナー(拷問と死体とハンバーガー付き)。客は妖怪じみた殺し屋。
残酷描写は相変わらずだけど、ストーリー自体はベタなほどエンタメに徹している。
人生に無目的だったカナコが、死体と狂気の間で、自分の資質と生きる力を得ていく成長物語であり、暗黒世界での心の交流(でも容赦なくボコられる)の物語。これまで2冊しか読んできてないけど、一番面白いんじゃないかなぁ。
登場人物(カナコ以外)は常に人間性を無視した所業を繰り広げ、しかし、唐突に人間らしさを見せる。その間をつなぐのが、ボンベロの作る料理。嬉々として拷問を行う彼らが、食事を貪る時だけは愛らしい。巨大なハンバーガーがホントに美味そうで、殺し屋を黙らせてしまう説得力があるんだよね。
ボンベロの過去話はあまり必要性を感じないんだけど、今までになく派手な、お約束的なガンアクションシーンに至るのに必要なステップ。銃撃戦による人体損壊は、もちろん平山風味。
横倒しにしたハンバーガーが人体を想起させる表紙も素晴らしい。
バンズにかぶりつき、気づいたら指に付いたソースをしゃぶってる、そんな一品。
映像化希望!


OATMAN DINERに行ってこようかなぁ……