CHINA LAKE

チャイナ・レイク (ハヤカワ・ミステリ文庫)

チャイナ・レイク (ハヤカワ・ミステリ文庫)

『チャイナ・レイク』メグ・ガーディナー〈ハヤカワHM367-1〉

親友の母の葬儀に狂信者集団〈レムナント〉のデモ隊が押しかけてきたのが最初だった。弁護士にしてSF作家のエヴァンは彼らと対決する。だが敵の本当の狙いはエヴァンの六歳の甥ルークだった。兄ブライアンの離婚した妻が〈レムナント〉に入信していたのだ。執拗な嫌がらせ、ルークに対する誘拐の試み。その背後には、陰謀が……カルト教団と対決するヒロインの活躍を描き、アメリカ探偵作家クラブ賞に輝いたサスペンス

ミステリと言うより、『悪魔の追跡』*1ばりのホラーですよ。
カルト教団の存在感がもう一人の主人公とも言える作品。最初はいらつく嫌がらせ程度だったのが、誘拐、殺人、さらなる陰謀へとエスカレート。彼らの行動に、エヴァン共に、イライラから恐怖、そして怒りへと感情がかき立てられる。それらが、エンタメ的に物語のスケールが大きくなっていく展開と呼応している構成が上手い。
法を無視し、手際のいい教団に対して、警察の無能ぶりはお約束。その間で奮闘する主人公たちを応援したくなってしまう。
カルト教団の不気味さ、次から次へと事件が起きるストーリー、甥っ子への愛情のバランスがよく、ちょっと長めだけど一気読み。ただ、主人公がSF作家という設定があまり活きていないのが残念。
シリーズ続編がけっこう出ているみたいなんだけど、カルト教団との戦いは続いていくのかな?