THE REPOSSESSION MAMBO
- 作者: エリックガルシア,Eric Garcia,土屋晃
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2009/09/29
- メディア: 文庫
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新潮文庫は、突然SFが入るから油断できない。
誰もが気軽に高性能の人工臓器を移植する未来。しかし、そのローンの支払いが滞れば、臓器をえぐり出され、強制的に回収されてしまう。“おれ”はかつてはトップレベルの取り立て屋だったが、今では追われる身。廃ホテルに潜伏し、古びたタイプライターでこれまでを綴る毎日。しかし、ある日、そのタイプライターに「うるさい」というメモが――
てっきり、エミリオ・エステベスが宇宙人の死体を運ぶ話かと思った(笑)
不死のテクノロジーがありながら、命がローンよりも安いというブラックジョークにまみれたディストピア。
当たり前の仕事として内臓を抉り出す彼のみならず、それが常態として受け入れられている世界構造がグロテスク。人工臓器産業は巨大市場となっただけではなく、すべてがそのために動いている世界。子供向けの人工臓器CM、まるで進んで移植しているように見える人々、延命よりもローンのために臓器を勧める会社。携帯電話のように、どんどん新機能が搭載されていく人工臓器は馬鹿馬鹿しいとともに、グロテスクの極致。
また、“おれ”のタイプから透けて見えてくるのは、臓器だけでなく、すべてが全てが交換可能なパーツと化した世界。心でさえもパーツに過ぎない。5回も離婚している“おれ”は自分を愛してくれる妻を見つけるために、交換し続けているのかな。そして、そんな彼も、凄腕だとしても、会社にとってはパーツに過ぎない。
ハードボイルドタッチだから一人称なんだろうけど、タイプライターで打っているという設定が、「うるさい」のメモ以外に生きてないのが残念。そこにも仕掛けが欲しかったかなぁ。
一つ謝らなければならないことがあります。
いつも、ジャバウォッキージャバウォッキーと唱えているのに、実は、鉤爪シリーズ*1未読です!
いずれ読みます!