LLAMADAS TELEFONICAS

通話 (EXLIBRIS)

通話 (EXLIBRIS)

『通話』ロベルト・ボラーニョ 〈白水社EX LIBRIS〉
EX LIBRIS第3弾!

 収録作品

う〜ん。
ジーザス・サン (エクス・リブリス)』『イエメンで鮭釣りを (エクス・リブリス)』が楽しめたんで、期待したんだけど、ちょっと趣味じゃなかったなぁ。
ダメな人の話は好きなんだけど、ここに出てくるのは普通に落ちていく人の話。また、一流だろうが三流だろうが、書き続けることが大切という、永遠の文学青年を描いた作品も多い。
ほとんどの作品がチリ政情を前提としており、そこに疎いため、イマイチ深いところまで飲み込めない。


気になった作品は、
・「センシニ」
 たまたま応募した小説コンテストで3位入賞した男。
 2位に自分がファンの作家が入っていて、それが元で文通し始める。
 普通の話なんだけど、なぜか涙腺を刺激(笑)


・「エンリケマルティン
 下手くそな詩を書いている友人。
 しばらくして、彼は詩をやめてオカルト雑誌を創刊する。
 その後疎遠になるが、彼は何者かに追われているらしく、紙の束を手渡していくが……
 『フーコーの振り子』のようでありながら、そことは全く別のベクトルのオチ。
 実は、これもイマイチの見込めてない。


・「文学の冒険
 大嫌いな作家をモデルにして小説を書いたところ、その本人から好意的な書評が。
 彼は気づいていないのか、それとも……


・「芋虫」
 学校をさぼって町をぶらつく青年。
 いつも公園のベンチにいる男と仲良くなる。
 彼が語る故郷は……


・「ロシア話をもう一つ」
 二次大戦中、手違いからドイツに送られてしまったセビーリャ人。
 彼はドイツ語が全く喋れず、取り敢えず雑用係になる。
 そこに侵攻してきたロシア軍に捉えられ、拷問に掛けられるが……
 これが一番分かり易く、小咄系で好き。それを求める作家でない気もするけど。


・「刑事たち」
 軍事政権下で刑事をやっていた二人。
 ふと、中学時代の同級生が政治犯として捕まったときのことを思い出し……
 これ、どう読んだらいいの!? 
 彼らがやってないと言っていないと口を合わせていることも、結局はやっていたということ? 
 誰か指南して!