I’M THE KING OF THE CASTLE

ぼくはお城の王様だ

ぼくはお城の王様だ

『ぼくはお城の王様だ』スーザン・ヒル講談社

住み込み家政婦としてフーパー家にやってきたキングショー母子。そこには、11歳のキングショーと同い年の息子フーパーがいた。会った瞬間から反目する二人。フーパーの執拗で陰湿ないじめが始まる……

ひじょうに嫌な気分になる1冊。
邪悪で、要領がいいフーパー。そんな彼に追い込まれ、逃げ場を失っていくキングショー。守ってくれるはずの母は生活が豊かになることだけを考え、まるでキングショーの言葉を聞いてくれない。全ての流れは、キングショーとは別方向に流れていく。
フーパーの圧倒的な恐怖、大人たちの圧倒的な力の前に、何をやっても無駄という、キングショーの絶望に読んでて動悸がひどくなる。
キングショーにも凶暴な本能があるものの、それを発揮するには彼は繊細すぎ、理性がありすぎた。
この題名は、二人にかかっていて、キングショーが見つけた「お城」はあまりに哀しい。でも、彼が手にできる最高の自由は……
後味悪い作品好きにオススメ。