白昼艶夢

白昼艶夢 (ふしぎ文学館)

白昼艶夢 (ふしぎ文学館)

『白昼艶夢』朝山蜻一〈出版芸術社 ふしぎ文学館〉
最近ちょろちょろ買い集めているふしぎ文学館に着手。

収録作品

  • 「くびられた隠者」
  • 「女には尻尾がある」
  • 「白昼艶夢」
  • 「楽しい夏の想出」
  • 「不思議な世界の死」
  • 「ひつじや物語」
  • 「巫女」
  • 「死霊」
  • 「人形はなぜつくられる」
  • 「泥棒たちと夫婦たち」
  • 「虫のように殺す」
  • 「変面術師」
  • 「矮人博士の犯罪」
  • 「掌にのる女」
  • 「僕はちんころ」
  • 「天人飛ぶ」

SMとフェティズムを描いた作品が多く、むしろ、それ以外の作品はつまらない。「変面術師」「矮人博士の犯罪」はマッドサイエンティストもので、怪人二十面相シリーズのようで、今読むとその怪奇が微笑ましい。「不思議な世界の死」SF的異世界もので、この中では異色。


個人的お気に入りは、
・「白昼艶夢」
 くびれた腰を愛する男。
 理想の腰を見つけ、その女に極限まで細いコルセットを締めさせるが……


・「ひつじや物語」
 花街で、女の代わりに羊を飼い、それを男の相手にさせている店。
 最近、時々、羊がいなくなることがあり……


・「人形はなぜつくられる」
 出ていった30年下の愛人そっくりマネキンを作る職人。
 どんどんそれは精巧になっていき、最後に自分用の人形を作るが……


・「虫のように殺す」
 ゴキブリを素手で殺すのが日課の男。
 転がり込んできて、部屋から出て行こうとしない女が邪魔になり……


・「掌にのる女」
 快楽を探求した結果、全身をゴムで密封することに行き着いた夫婦。
 妻は、仮死状態になるほどきついゴムを身に付けるが、そのうち……


・「僕はちんころ」
 小人の男。
 自分に残飯を与えてくれる飲み屋の女を崇拝しているが、ある日、彼女は男を作り……


一方的な加虐や被虐ではなく、両者がそれによって快楽を感じているのは、SM小説としてはいいと思う。でも、(基本的に)男のサディズムに対して、それを無条件で受け入れ、そこに愛を感じてしまう女性像、という視線は一方的で、フェミニズム小説も苦手だけど、こちらも居心地悪い。
一方で、フェティズムの表現は、それでも止められない、というオチで好感(笑)
変な話し好きにはオススメの短篇集。