白昼艶夢
- 作者: 朝山蜻一
- 出版社/メーカー: 出版芸術社
- 発売日: 1995/05/01
- メディア: 単行本
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最近ちょろちょろ買い集めているふしぎ文学館に着手。
収録作品
- 「くびられた隠者」
- 「女には尻尾がある」
- 「白昼艶夢」
- 「楽しい夏の想出」
- 「不思議な世界の死」
- 「ひつじや物語」
- 「巫女」
- 「死霊」
- 「人形はなぜつくられる」
- 「泥棒たちと夫婦たち」
- 「虫のように殺す」
- 「変面術師」
- 「矮人博士の犯罪」
- 「掌にのる女」
- 「僕はちんころ」
- 「天人飛ぶ」
SMとフェティズムを描いた作品が多く、むしろ、それ以外の作品はつまらない。「変面術師」「矮人博士の犯罪」はマッドサイエンティストもので、怪人二十面相シリーズのようで、今読むとその怪奇が微笑ましい。「不思議な世界の死」SF的異世界もので、この中では異色。
個人的お気に入りは、
・「白昼艶夢」
くびれた腰を愛する男。
理想の腰を見つけ、その女に極限まで細いコルセットを締めさせるが……
・「ひつじや物語」
花街で、女の代わりに羊を飼い、それを男の相手にさせている店。
最近、時々、羊がいなくなることがあり……
・「人形はなぜつくられる」
出ていった30年下の愛人そっくりマネキンを作る職人。
どんどんそれは精巧になっていき、最後に自分用の人形を作るが……
・「虫のように殺す」
ゴキブリを素手で殺すのが日課の男。
転がり込んできて、部屋から出て行こうとしない女が邪魔になり……
・「掌にのる女」
快楽を探求した結果、全身をゴムで密封することに行き着いた夫婦。
妻は、仮死状態になるほどきついゴムを身に付けるが、そのうち……
・「僕はちんころ」
小人の男。
自分に残飯を与えてくれる飲み屋の女を崇拝しているが、ある日、彼女は男を作り……
一方的な加虐や被虐ではなく、両者がそれによって快楽を感じているのは、SM小説としてはいいと思う。でも、(基本的に)男のサディズムに対して、それを無条件で受け入れ、そこに愛を感じてしまう女性像、という視線は一方的で、フェミニズム小説も苦手だけど、こちらも居心地悪い。
一方で、フェティズムの表現は、それでも止められない、というオチで好感(笑)
変な話し好きにはオススメの短篇集。