2009年6月号

S-Fマガジン 2009年 06月号 [雑誌]

S-Fマガジン 2009年 06月号 [雑誌]



今月は、スプロール・フィクション特集V
翻訳ものは4本


・「名高きものども」……クリストファー・ロウ
 人類以前の巨人族
 彼らはノアの洪水の時に、再び自分たちが支配できる時を待って地中で眠りについた。
 ただ一人、見張りとして残ったティモンは、ある日兄を眼覚めさせるが……


・「蝶の国の女王」……ホリー・フィリップス
 恋人の帰りを待つ小説家。
 彼とは政治的な利用で、連絡がまるで取れない。
 それでも執筆をつづけようとするが……


・「都市に空いた穴」……リチャード・ボウズ
 9月12日。
 いまだ煙は立ち上り、ツインタワーは消え去っていた。
 喪失感に包まれる中、マグスは過去の大事件の幽霊を見たというが……
 今月はこれがイチオシかな。
 ぽっかりと空間に穴が開いた光景は、まさに常識を超えており、
 その喪失感と、ある種の連帯感が、幽霊を小道具にして、あの場にいなかった者にも伝わってくる作品。


・「ローズ・エッグ」……ジェイ・レイク
 破裂させることによって一瞬にして絵を付着させるアイテム、エッグ。
 ストリートギャングのマーヴェルは、天才のオーティスに新型エッグを作らせ、
 二人で大儲けしていくが……
 これは普通にSFっぽい。ストリートを舞台にしたサイバーパンク風で、『スノウ・クラッシュ』に近いかも(未読だけど)


海外作家・編集者に向けた世代間論議のアンケートが面白い。
ルーシャス・シェパードはパンクだなぁ(笑)
ベンジャミン・ローゼンバウムはえらく真面目。短編集出してほしいんだけどなぁ。


「大森望の新SF観光局」は、お休み


「デッド・フューチャーReMix」は、オニール計画つづき
大物トンデモさんがまたもや参加。
その一方で、着々と鉄の夢化へと近づく。


「SF挿絵画家の系譜」は、佐治嘉隆


「サはサイエンスのサ」は、新しい粒子が見つかった。


「センス・オブ・リアリティ」は、
金子隆一は、ボブ・ショウとダークマター
香山リカは、情報の信用性をどこに求めるか


「MAGAZINE REVIEW」は〈F&SF〉誌
"Days of Wonder"ジェフ・ライマン
"Private Eye"テリー・ビッスン
が面白そう。


来月は「スタートレック」特集。