人獣怪婚

猟奇文学館〈2〉人獣怪婚 (ちくま文庫)

猟奇文学館〈2〉人獣怪婚 (ちくま文庫)

『猟奇文学館2 人獣怪婚』七北数人編〈ちくま文庫
猟奇アンソロジー第2巻。

収録作品

神話やお伽噺の中では異類婚姻譚は普通なように、こちらもタブーが感じられず、幻想的な短篇が多い。もっとストレートに獣姦もの(あら、下品)と汚穢を期待してたんだけどなぁ。


そんな中でお気に入りは、
・「鶴」椿實
 交尾を嫌がり、血まみれで死んだ鶴の雌。
 それを見ていた少年は……
 根源的な嫌悪感とエロスがない交ぜになった短篇。
 題名のイメージと正反対のビジュアルも傑作。
 

・「獣舎のスキャット皆川博子
 少年院帰りの弟。
 姉は、実家の店をずっと手伝ってきた来たにもかかわらず、
 彼が相続するらしいことを知る。
 少年院での秘密をネタに、弟の抹殺を考えるが……
 「たぶん好きそう」と言われてましたが、直球でしたよ! エスパー?
 題名からして、嗅覚を直撃。
 いびつな近親相姦的感情、少年院での行為だけだったら、そこそこだったんだけど、ラストは、読みたかったのはまさにこれですよ! 様々な意味でおぞましくて最高。
 ……今年はピュア読書キャラで行こうと思ってたんだけどなぁ。


「白い少女」「美女と赤蟻」「心中狸」も悪くなかったんだけど、このアンソロジーに(勝手に)期待していたのとはちょっと違うんだよね。