ARROW’S FALL
天翔の矢―ヴァルデマールの使者〈3〉 (C・NOVELSファンタジア)
- 作者: マーセデスラッキー,鳥子,Mercedes Lacky,澤田澄江
- 出版社/メーカー: 中央公論新社
- 発売日: 2009/01
- メディア: 新書
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THE HERALDS OF VALDEMAR最終巻
研修を終えたタリアは正式に〈女王補佐〉としての仕事を始める。ダークが〈生涯の絆〉の相手だと確信したものの、彼は、タリアはクリスと愛し合っていると思い込んでいた。クリスとはオーサレン卿のことですれ違い、エルスペスは何故かタリアを避ける。一方、議会ではハードーンのアンカー王子とエルスペスの縁談を巡って分裂。そこに不穏なものを感じるセレネイは、クリスとタリアにハードーンの偵察を命じるが……
常に困難に立ち向かってきたタリアだけど、今回はかなりハード。とは言っても、ヴァルデマールの女性キャラには割とよくあること。作者のスタンスなのか、シリーズを通して描かれているのは、女性の権利や力強さ。個々に降りかかる困難とその克服はドラマチックな一方、戦争とか陰謀といった男性的なエピソードになると、どうも描写がイマイチで印象が薄い。迫力なく、こぢんまり収まっちゃうんだよなぁ。そもそも、ヴァルデマール自体が女王の国だし。
そんなタフなタリアが、必然的お姫様だっこ状態になるラストは印象的(笑)
そういう読み方をしなくても、基本的に、ペア(〈使徒〉と〈共に歩むもの〉、〈姉妹の契り〉、〈生涯の絆〉……)の物語なんだよね。『旅立つ船』もそうだったし。国同士の戦争とか舞台が大きくなると、苦手なのかも。オーサレン卿の陰謀とか、もっと膨らませて読みたかったけどね。
タリアの成長と活躍を描いた三部作もこれでおしまい。これを引き継ぐのがエルスペスなんだけど、できれば〈ヴァルデマールの風〉の前に読みたかった……。
次はヴァニエルの物語が訳される模様。アルベリッヒ物語はないの?