THE CLEANER

清掃魔

清掃魔

『清掃魔』ポール・クリーヴ〈柏書房
ニュージーランド発、2007年ドイツ・アマゾン年間ペストセラー第1位ミステリ。

クライストチャーチで起きている、女性ばかりを狙った連続殺人事件。2匹の金魚が親友で、マザコン、知的障碍者を装って警察署で掃除夫として働いているジョーこそが、そのクライストチャーチ・カーヴァーだった。証拠を残さず、警察の無能さを嘲笑っていたが、事件のうち、一件が彼の仕業ではなく、模倣犯によるものだった。コピーキャットが許せないジョーは独自に捜査を開始。警察さえも掴んでいない証拠を見つけるが……

これはなかなかアタリ。
主人公ジョーは、自己合理・自己中心的で、自分以外の全ての人間は○○○○で、○○で、○○と思っている、悪臭がするほど嫌なキャラが極めて立っている。平野耕太の、人を小馬鹿にした台詞を吐く落書き絵のイメージ(笑)
残酷描写と差別用語のオンパレードで不快になる人も少なくないと思うけど、これで彼が危機に陥っていく様を愉快に蔑むことが出来る。ジョーの絶体絶命は悲惨すぎて笑うしかない(あまりに痛そうで吐きそうだけど)
善意の人なのにイライラさせられるジョーの同僚、彼が掴まるのか逃げ延びられるのか、どっちにドキドキしているのかわからなくなってくる終盤、そして一気に燃え上がる愛。
いろんな意味で、愛を描いた作品かなぁ(胸くそ悪くなるような)


フィツェックは3冊目でマンネリ気味になってきたけど、これはやはり柏書房は無視できないか。