CLUES OF THE CARIBBEES

『カリブ諸島の手がかり』T・S・ストリブリング〈国書刊行会 世界探偵小説全集15〉
マイミクのオススメと、河出から続きが出る前に着手。

 収録作品
・「亡命者たち」 The Refugees
 亡命してきた元独裁者。
 ホテルの支配人と食事中、その支配人が毒殺される。
 独裁者を狙ったものだったのか!?
 休暇で滞在中だったアメリカ人心理学者ポジオリ教授が捜査に乗り出す。
・「カパイシアンの長官」 The Governor of Cap Haitien
 ハイチの長官に招かれたポジオリ教授。
 そこでは、ヴードゥーの司祭が人心を支配していた。
 その魔力は本物なのか? 彼と対決するため、密林のアジトへと向かう。
・「アントゥンの指紋」 The Prints of Hantoun
 犯人が口ずさんでいた鼻歌から、金庫破りの正体を追うが……
・「クリケット」 Cricket
 クリケットの更衣室で殺された青年。
 彼は株で大負けしていたのだが、そこに奇妙なものを感じたポジオリ教授は……
・「ベナレスへの道」 A Passage to Benares
 興味を持ち、トリニダード島のヒンドゥー寺院で一夜を明かしたポジオリ教授。
 しかし、その夜、殺人事件が起き、彼自身に容疑が!

ポジオリ教授、訳に立ってなくない? 
普通の探偵ものだと思っていると、かなり肩すかしを食らう。推理小説と言うよりは、国や人種、文化の差を描きたかったように見える。
教授は、やたらと短気だし、推理は間違ってるか、間に合わないし、人狩りのようなことはしたくないと言いつつ、自分の華麗な活躍をみんなで前で披露したいという虚栄心の持ち主、というダメな子(笑)


正直、あんまりはまれなかったんだけど、最終話「ベナレスへの道」のラストには鳥肌立った。ずっと間の抜けた教授を読んできて、ラストの一行で一気に奈落に落とされる感じ。奇想系としてはたいして珍しくないオチだけど、何故かここではぞっとさせられた。このためだけでも、一冊読む価値はあるなぁ。この続きを書くのはアウトでしょ。


ところで、今度河出から出るのは、第2期? 3期?