THE STONE SHIP

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『山羊の島の幽霊』ピーター・ラフトス〈ランダムハウス講談社

最愛の妻に先立たれ、自殺するために無人島にやってきた男。しかし、銃も首吊りも怖くて実行できない。その彼の前に幽霊が現れる。自殺をするつもりなら、死ぬ気で自分の復讐をしてくれないかと持ちかける。幽霊に従って向かう先は〈大学〉と呼ばれる巨大な塔。たらい回しにされるも、なんとか〈大学〉に入りこむ。そこは、迷宮のような図書館、死せる本の墓場、怪物が棲むと言われる地底湖、意味不明の学問を研究する学部……不条理な〈大学〉内で復讐相手を見つけられるのか!?

未来世紀ブラジル』を思い起こさせるお役所仕事、世界を包含しているかのような〈大学〉、その周りの集落、どこまでも続く階段、常に学部同士の優劣を争っている巨大な図書館などなど、全く主体性のないダメな主人公が故に、その不条理で怪奇な世界のいいガイドになって、彷徨うことができる。特に、死せる本の墓場の設定は魅力的だなぁ。単にこういう名前に弱いだけか?(『風の影』にも出てきたし)
しかし、何よりクライマックスに驚け! これは深読みすべきなのか、描写どおりなのか……。原題の意味が……これ以上は言えねぇ! これはギャフンだよなぁ。好きだけど。 
期待を裏切られるので、ラストで唖然としたい人にオススメ。