THE FALL OF THE KINGS

ツールが始まっちゃったんで、これから3週間はただでさえ少ない読書量が更に激減する予定。

王と最後の魔術師 上 (ハヤカワ文庫 FT カ 2-4)

王と最後の魔術師 上 (ハヤカワ文庫 FT カ 2-4)

王と最後の魔術師 下 (ハヤカワ文庫 FT カ 2-5)

王と最後の魔術師 下 (ハヤカワ文庫 FT カ 2-5)



『王と最後の魔術師』エレン・カシュナー&デリア・シャーマン〈ハヤカワFT470、471〉

王政が廃止され、魔術師も消えてから500年。古代史を研究する歴史学者バージル・セント・クラウドは、公爵家のセロンと深く恋に落ちる。一方、街では、魔術を信じ、王政復古を狙う結社が動き、北部でも不穏な動きが見られ、野心を持った貴族が探ろうとしていた。そんな中、バージルは研究者生命を賭けて論敵クラブ博士に論戦を申し込もうとしていた。しかも、その内容は、口にすれば反逆者と目されるような魔術についてらしい。それぞれの思惑が、論戦へと集まろうとしていた……

剣の輪舞増補版 (ハヤカワ文庫) [ エレン・カシュナ- ]』の姉妹編なんだけど、完全に独立した作品として読める。現に、前巻のキャラクターの名前忘れてても気にならなかったし(笑)
カシュナーが作り上げた『剣の輪舞』の舞台を、シャーマンが箱庭遊びとして広げていったように、町と生活は細部まで生き生きしている。一種の治外法権と化している大学と迷路のような学生街、丘に住む貴族たち、その麓の装飾品を売る店、ファンタジーの街作りとして、教科書的完成度。
剣や魔術での戦いではなく、あくまで証拠を集めての学術的論戦はかなりスリリング。
また、復活しようとしている魔術も、本物なのか集団ヒステリーに過ぎないのか、どちらとも取れるような状況設定は、異世界ファンタジーとしては、うまく練られている。
派手さはないけど面白い。……なんだけど、ただ、「ホモの嫌いな女の子はいません!(c)大野さん」なんだよな〜。同性愛が普通という世界を構築されているからしょうがないんだけど、やはり読んでて気になってしまう(笑)。その辺に拒絶反応がない方にはオススメ。
あと、邦題はラストまで読むと、かなりいいと思った。