プロトンの中の孤独

プロトンの中の孤独」近藤史恵〈『Story Seller 2008 Spring』掲載〉

プロレーサーを望んでスペインに渡ったものの、プロチームから声がかかることもなく3年が過ぎた赤城。ある日、日本のチーム・オッジからスカウトされ、帰国する。同じ時期にスカウトされたクライマーの石尾は、チームと馴染もうとしない。見事な走りを見せた彼をチームは手放すつもりはないのだが、チームには既に久米という傲慢なエースがいる。そして、北海道ステージレース。赤城は久米の腰巾着に妨害され……

[rakuten:book:12115290:title]』外伝。
主人公以上に印象深かった石尾と、最年長の赤城がチームに入った頃のエピソード。
ツール・ド・フランスに出たくないか?」という台詞は、後の本編のことを考えると、深いなぁ。
ラストも、チームレースならではの報復で、客観的には誰も傷ついていないけど、その当事者には深いダメージを与えている。ルールと常識の中で仕組まれていて、ミステリ(?)としてもフェア。
サクリファイス』を読んどいた方が楽しめるけど、単独のロードものとしてもちゃんと完成していて、オススメ。
オムニバスで、ロードものをもっと書いて欲しいなぁ。