THE CLAW OF THE CONCILIATOR

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『調停者の鉤爪』ジーン・ウルフ〈ハヤカワSF1664〉
新しい太陽の書シリーズ第2巻。

ドルカスたちとはぐれたセヴュリアンは、謎の男たちに拉致され、森の奧へと連れて行かれる。そこにいたのはヴォダルスだった。儀式を経て、彼への忠誠を誓ったセヴュリアンは、密命を帯びて〈絶対の家〉に向かうが……

前巻にも増してエピソードだらけで、あらすじが捕らえにくい。つながりがよく見えず、もしかしたら間違って3巻が出てしまったのでは? としばらく思いながら読んでいた(笑)。唐突で、意味がよく分からないエピソードの寄せ集めは、まるで神話集を読んでいるかのよう。しかし、〈絶対の家〉のように容れ物よりも中身の方が巨大で、境目が曖昧な印象を受けるそれらには、何かが仕込まれているとしか思えない。さらに作中作とも言える、舞台の脚本やウールスの神話などにも何か意味が隠されているのではと勘ぐってしまう。そうなったら、たぶん〈新しい太陽の書〉の術中にはまってるんだろうなぁ。一見ヒロイック・ファンタジイだけど、完全記憶を持ちながら、今ひとつ信用できない語り手の描く物語は半分を読んでも、まだまだ何も見えてこない。