THE CASEBOOK OF CARNACKI THE GHOST FINDER

幽霊狩人カーナッキの事件簿 (創元推理文庫)

幽霊狩人カーナッキの事件簿 (創元推理文庫)

『幽霊狩人カーナッキの事件簿』ウィリアム・ホープ・ホジスン〈創元推理文庫536−02〉
今までに2回出ているカーナッキシリーズを全新訳&初訳1本を収録。
タイトルも楽しんでるなぁ。


・「礼拝堂の怪」The Thing Invisible
 誰もいないのに、礼拝堂にある短剣が飛んできて、使用人が重傷を負う。
 それは呪われた短剣だというのだが……


・「妖魔の通路」The Gateway of the Monster
 誰もいないのに毎日布団が跳ね上げられる部屋。
 その部屋にこの世ならざる物がいることを確信したカーナッキは、
 対決を決意する!


・「月桂樹の館」The House Among the Laurels
 天井から血の雫がしたたり落ちる呪われた館。
 カーナッキが調査に乗り出す。


・「口笛の部屋」The Whistling Room
 何者かの口笛が聞こえる屋敷。
 それは霊の仕業なのか、それとも何者かの悪戯なのか?


・「角屋敷の謎」The Searcher of the End House
 母と暮らす若かりしカーナッキ。
 ある夜、ドアを開ける音と異臭がする。
 その家は、以前から幽霊が出ていたらしいのだが……


・「霊馬の呪い」The Horse of the Invisible
 長子が女子だった場合、結婚前に死ぬ呪いがあるという家。
 彼女は婚約したのだが、馬のいななきが聞こえるように。


・「魔海の恐怖」The Haunted JARVEE
 出航の度に必ず乗組員が死ぬ呪われた船。
 カーナッキも一緒に乗り込み、調査する。


・「稀書の真贋」The Find
 この世に一冊しかないという稀書。
 その二冊目が見つかり、カーナッキが鑑定を依頼される。


・「異次元の豚」The Hog
 毎晩、地獄のような力と豚の鳴き声の悪夢に悩まされる男。
 カーナッキはそれが稀な現象だと考え、
 その正体を探ろうとするが……


・「探偵の回想」Carnaki, The Ghost Finder
 四つの事件のあらすじをカーナッキが語る。


ゴースト・ハンターものの元祖的な作品なんだけど、ある意味新鮮。
カーナッキはあくまで事件を解決するのが目的で、本物の幽霊と、心霊現象に見えるだけの2パターンの扱い同列なのが面白いんだけど、その正体についてはあまり追求しないんだよね。
また、怪奇現象につきものの不可解な出来事についても「わからない」か「勘違い」か「たまたま」で済ましちゃう。最初はツッコミ入れてたものの、徐々にそれが出てくるのを楽しみにしちゃうダメな読み方をするように(笑)難しいオカルト理論は端折るし、事件中は毎回ビビリだし、現在のゴースト・ハンターとはかなり一線を画しているかも。


電気と写真が事件解決のカギになることが多く、そこが時代を表しているのかな。
ガジェットがクトゥルーものっぽいと思ってたんだけど、ラヴやんよりも前の作家なのね。
ところで、カーナッキは仕事何してるの? このオカルト探偵が本業?


ちなみに『League of Extraordinary Gentlemen』3巻のメンバーの一人(らしい)出るのかな……