FIRST BLOOD

一人だけの軍隊 ランボー (ハヤカワ文庫)

一人だけの軍隊 ランボー (ハヤカワ文庫)

『一人だけの軍隊』デイヴィッド・マレル〈ハヤカワNV299〉
ランボー*1原作
最近(ごくごく一部で)話題だったんで便乗読書(笑)

ケンタッキーの田舎町。一人の薄汚い青年がヒッチハイクをしようとしていた。町の平穏に努めるティーズル署長は、彼を町の外まで乗せていく。しかし、再び戻ってきたうえ、反抗的な態度のため、彼を留置することに。しかし、髭を剃ろうとしたとき、彼はカミソリを奪い、一人の腹を切り裂き、銃を奪って山に逃げ込む。ティーズルは部下を率いて追跡を開始するが、相手は元グリーン・ベレーの優秀な戦士だったのだ!

これ、面白いな〜。ちょっとケッチャム作品を思い出しちゃった。
知らないものはいないであろう映画版と、その反対に読んでいるものが少なそうな原作。両者を比較して感想を書いていくのが楽かな。あらすじは概ね一緒。
映画では、ランボーは、PTSDで苦しみ、孤独で、誰にも受け入れられない戦場の英雄、的な描かれ方。一方の署長(保安官だっけ?)は、冷酷な独裁者というステロタイプ的な悪者。彼の理不尽な扱いに、ランボーのスイッチが入ってしまうわけだ。
ところが、原作のランボーはかなりクレイジー。もめ事を求め、情緒不安定、思考の道筋がイマイチ辿りにくい。ジェド・豪士に倒されそうな感じ(笑)。署長の方は普通の警官。というよりかなり善人。
このクレイジーっぷりがかなり面白くて、居場所のない帰還兵という背景はあまり感じられず、結局自分から死と暴力の世界に帰ってきてしまう。逃げればいいのに、敵を殺すのをやめられない。署長も野生の超感覚を得て、ランボーと互角となる。最初は憎しみ合っていた二人だが、いつしかお互い共感できるようになり、それでも殺し合いをやめられない二匹のオスの闘争。
鉄面皮の映画に比べて、結構いいわけと泣き言を考えているのもまた不気味。
最も違うのがラスト。これはニュー・ウェーヴ?(笑)
ノベライズだと思ってスルーしてた人は、もったいないのでオススメ。