GALACTIC NORTH and DIAMOND DOGS, TURQUOISE DAYS

銀河北極 (ハヤカワ文庫 SF レ 4-4 レヴェレーション・スペース 2)

銀河北極 (ハヤカワ文庫 SF レ 4-4 レヴェレーション・スペース 2)

レヴェレーション・スペース短篇集第2弾


収録作品
・「時間膨張睡眠」Dilation Sleep
 冷凍睡眠の乗客を乗せた宇宙船。
 ある日、乗組員のサグデフが覚醒させられる。
 乗員の一人に緊急手術の必要が起きたらしい。
 しかし、彼とは別に、何者かの影を感じる。
 発表年代順では、一番古い作品。
 特にこの宇宙史らしさもないし、イマイチかな。


・「ターコイズの日々」Turquoise Days
 パターン・ジャグラーの海が広がるターコイズ星。
 研究者のナキは、2年前にその海で姉を亡くしていた。
 大がかりな実験が開始されようとしているある日、1世紀ぶりに宇宙船がやってくる。
 ソラリスを舞台にした海洋ものといった趣。


・「グラーフェンワルダーの奇獣園」Grafenwalder's Bestiary
 各地の変わった生物をコレクションしているグラーフェンワルダー。
 彼は、すでに絶滅したとも噂される、エウロパのデニズンを探し求めていた。
 そんなある日、ブローカーから連絡が入る。
 これまでの作品に出てきた怪物たちが勢揃い。
 特に、「ダイヤモンドの犬」のあの方が、まさか再登場するとは……!


・「ナイチンゲール」Nigthingale
 軌道上の宇宙船に潜んでいるという戦犯を捕まえるためにチームを組んだ5人。
 しかし、その宇宙船は戦時中に爆撃されたと言われていた病院船だった!
 「ダイヤモンドの犬」、「グラーフェンワルダーの奇獣園」同様、宇宙ものらしからぬグロテスクさがたまらない。


・「銀河北極」Galactic North
 冷凍睡眠の乗客を、副長の裏切りによって海賊に奪われた女船長。
 彼女はその乗客を取り返すため、追跡を開始する。 
 その追跡劇は数千年単位で繰り広げられ、いつしか神話と化していく……
 これは、最近訳されたシンギュラリティものの中でも、一番面白いんじゃないかな。
 4万年にもわたる追跡劇を100ページ足らずで描いていて、まさに時間が飛ぶように過ぎていく。
 今までの未来史も、銀河も数行で崩壊していく。もしかして、レヴェレーション・スペースの最終回?
 これが、『啓示空間』*1並の長篇だったら、この読後感はないだろうなぁ。


個人的お気に入りは、「グラーフェンワルダーの奇獣園」、「ナイチンゲール」、「銀河北極」