GALACTIC NORTH and DIAMOND DOGS, TURQUOISE DAYS
銀河北極 (ハヤカワ文庫 SF レ 4-4 レヴェレーション・スペース 2)
- 作者: アレステア・レナルズ,中原尚哉
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2007/12/14
- メディア: 文庫
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収録作品
・「時間膨張睡眠」Dilation Sleep
冷凍睡眠の乗客を乗せた宇宙船。
ある日、乗組員のサグデフが覚醒させられる。
乗員の一人に緊急手術の必要が起きたらしい。
しかし、彼とは別に、何者かの影を感じる。
発表年代順では、一番古い作品。
特にこの宇宙史らしさもないし、イマイチかな。
・「ターコイズの日々」Turquoise Days
パターン・ジャグラーの海が広がるターコイズ星。
研究者のナキは、2年前にその海で姉を亡くしていた。
大がかりな実験が開始されようとしているある日、1世紀ぶりに宇宙船がやってくる。
ソラリスを舞台にした海洋ものといった趣。
・「グラーフェンワルダーの奇獣園」Grafenwalder's Bestiary
各地の変わった生物をコレクションしているグラーフェンワルダー。
彼は、すでに絶滅したとも噂される、エウロパのデニズンを探し求めていた。
そんなある日、ブローカーから連絡が入る。
これまでの作品に出てきた怪物たちが勢揃い。
特に、「ダイヤモンドの犬」のあの方が、まさか再登場するとは……!
・「ナイチンゲール」Nigthingale
軌道上の宇宙船に潜んでいるという戦犯を捕まえるためにチームを組んだ5人。
しかし、その宇宙船は戦時中に爆撃されたと言われていた病院船だった!
「ダイヤモンドの犬」、「グラーフェンワルダーの奇獣園」同様、宇宙ものらしからぬグロテスクさがたまらない。
・「銀河北極」Galactic North
冷凍睡眠の乗客を、副長の裏切りによって海賊に奪われた女船長。
彼女はその乗客を取り返すため、追跡を開始する。
その追跡劇は数千年単位で繰り広げられ、いつしか神話と化していく……
これは、最近訳されたシンギュラリティものの中でも、一番面白いんじゃないかな。
4万年にもわたる追跡劇を100ページ足らずで描いていて、まさに時間が飛ぶように過ぎていく。
今までの未来史も、銀河も数行で崩壊していく。もしかして、レヴェレーション・スペースの最終回?
これが、『啓示空間』*1並の長篇だったら、この読後感はないだろうなぁ。
個人的お気に入りは、「グラーフェンワルダーの奇獣園」、「ナイチンゲール」、「銀河北極」