なめくじに聞いてみろ

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『なめくじに聞いてみろ』都筑道夫〈扶桑社文庫〉

殺人術考案の天才、桔梗信輔。彼は死ぬ前に、12人の弟子にその殺人術を通信教育で伝授したという。息子の信治は、父の呪われた遺産を清算するために、東京に出てくる。しかし、相手の殺人術はもちろん、顔や名前もわからない。彼はどうやって、殺し屋たちと戦っていくのか!?

40年以上前の作品で、さすがに色々と古びちゃってるんだけど、思わず笑っちゃうような飛んだ設定、とぼけた語り口、各殺人術への対応策、キザな台詞にちょっと間の抜けた仲間たちは、エンターテインメントに徹していて、なかなか楽しい。触感は『ルパン三世』を思い出させたかな。
単に殺人術の解読と対決の繰り返しかと思いきや、障害や不気味な組織の登場で飽きさせない。殺し屋の素性がけっこう簡単にわかっちゃうのも、対決に焦点を当てているからご愛敬。
息詰まる攻防、頭脳戦を期待すると肩すかしを食らうけど、娯楽小説としては十分に楽しませてもらった。
ちょっとわからなかったのが、物価。今は10倍くらい? ミステリマガジンが150円くらいだったのは知ってるんだけど……