EX LIBIS : Confessions of a Common Reader

本の愉しみ、書棚の悩み

本の愉しみ、書棚の悩み

『本の愉しみ、書棚の悩み』アン・ファディマン〈草思社
日記を覗いて下さってる方はわかると思いますが、主にSF(及びファンタジー、ホラーなどのジャンル小説)を集めてるんですが、他にも20年代アメリカ史や自転車ロードレース、最近は妖怪・珍スポットなど、つまみ食いのようにちょろちょろ集めているのです。
それらの中でも、特に本・古本エッセイは見かけると買っちゃう。題名がまた揃っていいんだよね。
この本もそんな1冊。


全部で14のエッセイが収められている。
二人とも作家の、作者夫婦。出会って10年。ついに蔵書をまとめようということになるが、二人の整理方法は正反対で、さらに重複しているものはどちらを残すか……
これは人事じゃないよな〜。俺は出版社ごとの作者五十音順で整理するのが好きなんですけどね。知り合いの古本オタク夫婦は被ったのは処分してたけど、「もしも」の時が来たらどうすんだろ?(笑)
作者によると、本好きには騎士道的恋愛と肉欲的恋愛があるという。前者は本は買ったときと同じ状態に置こうとする。一方、後者は内容こそが大事で、ボロボロになるまでしゃぶり尽くす。作者一家は肉欲的恋愛、俺は間違いなく騎士道的恋愛主義者。ページの隅を栞代わりに折るのも基本的には許せない(笑)。書き込みとか、アンダーラインを引きたいと思うこともあるけど、やはりできないなぁ。附箋は貼るけど。
あと、小説の食事シーンが好きというのも共感。ちなみに食材辞典を眺めるが好きであります。
最後のエッセイは、誕生日に夫に初めての古本屋に連れて行ってもらうエピソード。「九キロ分の古本は、半キロ分のキャビアの九倍美味だ」う〜ん、素晴らしい。


本がらみのエッセイ(最近ではBlogも)の作者も読者も、基本的に本オタクなので、様々なものを共有できる。それが自分に興味がないジャンルであっても。
読みながら、ニヤニヤしたり、共感したり、それは納得できないと憤ったり。
本というメディアは、書痴同士で通用する符丁でありつつ、極めてプライベートなものなんだとつくづく実感するなぁ。