FLYING LEAP

空中スキップ

空中スキップ

隠し部屋を査察して (創元推理文庫)が気に入ったなら、と薦められたので着手

収録作品
・「犬の日Dog Days
・「借り」Guilt
・「秋冬ファッション・カタログより」Scenes from the Fall Fashion Catalog
・「道案内」Directions
・「チア魂」Got Spirit
・「アートのレッスン」Art Lesson
・「イェルヴィル」Yellville
・「アベレージ・ジョー」Average Joe
・「飛ぶ」Flight
・「作曲家」Composer
・「公園のベンチ」Park Bench
・「百ポンドの赤ん坊」Hundred-Pound Baby
・「本当のこと」What Happened
・「お目付け役」Chaperone
・「バカンス」Vacation
・「スキン・ケア」Skin Care
・「産まれない世界」Barren
・「レクチャー」Lessons
・「電車」Train
・「パーマネント」Permanent Wave
・「ブルーノ」Bruno
・「焼きつくされて」Burned
・「ハーシェル」Hershel

これは当たり。表紙と題名に釣られた人は痛い目見ます(笑)
確かにマコーマック好きなら、と薦められるわけだ(笑)『トラウマ・プレート (Modern&Classic)』にもちょっと似てない?
「道案内」は『紙の空から』で既読。この作者だとは、全く気づかず。
23の短篇が収められているんだけど、どれも面白い。
意地悪さが生理的嫌悪感にまで高められ、そこにたっぷり妄想のデコレート。素晴らしい。
出オチに近い一発ネタの短篇ばかりなんだけど、それでも世界の広がりを感じる作品が多い。


ホントにみんないいんだけど、あえて、お気に入りを選ぶなら、
・「犬の日
 戦争(?)により、荒廃しつつアメリカ。
 ある日、犬の着ぐるみを着た男が軒先にやってくる。
 妻と娘は、それを本物の犬のように扱うのだが……
 ラストは笑っちゃいます。
・「借り」
 母が心臓病で倒れる。
 移植が必要なのだが、叔母たちは、親のために、あなたの心臓を出しなさいと言う……
 これが一番気持ち悪かったかなぁ。後味悪すぎて笑っちゃう。
・「イェルヴィル」
 娘がボーイフレンドを連れてくる。
 しかし、彼が話す故郷は、まるで嘘のような話で……
 食卓の空気を想像するといたたまれなくなる。
 「貴方の心をです」て感じ?(笑)
・「飛ぶ」
 昔の女たちは優雅に飛び降りた。
 しかし、今は……
・「お目付け役」
 姪のデートにお目付役としてくっついてきた叔母。
 姪たちは二人きりになりたがってるのだが、彼女は許そうとしない。
 ラストはやはり意地悪だなぁ。
・「スキン・ケア」
 謎の病気により、皮膚がどんどん塵のように落ちていく妹。
 彼女は姉に会いに来て欲しいと頼むが……
 病気そのものよりも、姉の反応が気持ち悪い。
・「レクチャー」
 新任教師に説明される、学校での決まり。
・「電車」
 同じ車両に乗り合わせた人々のプロフィールをどんどん妄想……
・「ハーシェル 
 赤ちゃん作りの名職人の物語。