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遠い女―ラテンアメリカ短篇集 (文学の冒険シリーズ)

遠い女―ラテンアメリカ短篇集 (文学の冒険シリーズ)

『遠い女 ラテンアメリカ短篇集』木村榮一・編〈国書刊行会 文学の冒険〉読了
その筋では必須教科(?)の南米文学。
全く読んでいないので、とりあえず短編集を。

 収録作品
・「夕食会」……アルフォンソ・レイエス
・「意志の驚異」……オクタビオ・パス
・「厳しい修行」……オクタビオ・パス
・「急ぎ」……オクタビオ・パス
・「出会い」……オクタビオ・パス
・「天使の首」……オクタビオ・パス
・「チャック・モール」……カルロス・フエンテス
・「分身」……フリオ・ラモン・リベイロ
・「遠い女」……フリオ・コルタサル
・「乗合バス」……フリオ・コルタサル
・「偏頭痛」……フリオ・コルタサル
・「キルケ」……フリオ・コルタサル
・「天国の門」……フリオ・コルタサル
・「未来の王について」……アドルフォ・ビオイ=カサレス
・「航海者たち」……マヌエル・ムヒカ=ライネス

正直、ラテンアメリカ特有のものは、あまりくみ取れなかったんですけど、変な話ばかりでなかなか楽しめました。
南半球だから当たり前なんだけど、12月は暑いという描写に新鮮な驚き(笑)


個人的お気に入りは、
・「厳しい修行」
 一族の厄介者。
 教育者に渡され、訓練の末に人前に出られるようになるが……
・「天使の首」
 首を切り落とされた少女。
 天使に乗せてもらったが逆につけられてしまって……
 決して絵に出来ない描写で、目が回る。
・「遠い女」
 見知らぬ遠い町に、もう一人の自分がいることを感じるアレーナ。
 ついに、その女に会いに行くが……
・「乗合バス」
 バスに乗ると、運転手も客もなぜか自分を見つめている。
 いったい?
 なんか、伊藤潤二の絵が頭に浮かんだ(笑)
・「キルケ」
 立て続けに二人の婚約者を亡くしたデリア。
 彼女を愛するマリオが通ううちに元気を取り戻し、
 ボンボンを手作りしてくれるようになるが……
 オチは読めたんだけど、ボンボンは食べないようにします。
・「未来の王について」
 軍の防諜課に配属された男。
 幼馴染みにスパイ容疑があり、その屋敷に忍び込むと……
 一番わかりやすかったんだけど、もうちょい長くして欲しかった。
・「航海者たち」
 未知の世界に憧れるフォン・クヴァッツ。
 冒険者を名乗る胡散臭い男達と一緒にいる間に、本当に航海に出てしまう。
 彼らの冒険の物語は?


あらすじを書くと、あんまり面白そうじゃないな……
「あらすじ」が作れるほど形が定まっていなくて、なんというか、マーブル模様の中にいるような感じ。この辺がラテアメらしさ?
前半がその読書感が強く、後半は比較的小説っぽい(笑)
特に気に入ったのは、「天使の首」「乗合バス」「キルケ」「未来の王について」あたり。