MAGIC FOR BEGINNERS

『マジック・フォー・ビギナーズ』ケリー・リンク早川書房プラチナ・ファンタジイ〉読了
ケリー・リンク第二短編集。
半分くらい既読。でも、再読して、やっと味わえてくるんだよな〜。
それでも、「よくわからないんだけどね」というのがケリー・リンクの感想の枕詞(笑)


・「妖精のハンドバッグ」
 亡くなったおばあちゃんのハンドバッグを探すジュヌヴィエーヴ。
 そのバッグの中には、おばあちゃんの故郷の村と村人が暮らしているというのだが……
 ケリー・リンクにしては、わかりやすい作品。YAアンソロジーが初出。
・「ザ・ホルトラク
 これで3度目。
 ゾンビの言葉と、途中に挿入されるトルコ語練習の例文の無機質さが関係あるのでは? とか、
 「大砲」の一文をゾンビが喋っているから、他のリンク作品と何か循環しているのでは?
 等と考えながら読むも、やはりよくわからない。
・「大砲」
 巨大な大砲で発射されようとする男。
 彼へのインタビュー。
 この作品はけっこう好きなんだけど、やっぱりわからない(笑)
 2度目にして、何かのメタファーなのかも? という手触りが得られたような……
・「石の動物」
 田舎の家に引っ越してきた家族。
 そこには幽霊がいるという噂で、実際、機械類が使えなくなる。
 さらに、妻や子供たちの様子もおかしく……
 これは初読の中では一番好き。なんか気持ち悪いんだよなぁ。
・「猫の皮」
 敵の魔法使いに毒殺された魔女。
 彼女に育てられた息子は、猫とともに復讐の旅に出る。
 あらすじで書くとオーソドックスなファンタジーなんだけど、やはりよく(以下略)
・「いくつかのゾンビ不測事態対応策」
 いつも、ゾンビへの対応策を考えている、刑務所から出てきた男。
 パーティをやっていた家に入り込み、そこにいた少女と話し込むが……
・「大いなる離婚」
 死者と結婚できるようになった社会。
 しかし、死者は普通の人間の目には見えず、いろいろと問題があった。
・「マジック・フォー・ビギナーズ」
 時間帯も、チャンネルも、キャストも定まっていないドラマ「図書館」。
 ジェレミーはその大ファン。
 ある日、大叔母から相続した電話ボックスに、主要キャラであるフォックスが出る。
 彼女は危機にあり、ジェレミーに3冊の本を盗んできて欲しいと頼む……
 正体不明のTV番組がディティールが細かく、本物であるはずのTVの外の方が、何か不安定。
 題名からすると、主人公たちが次の出演者とか?
 それとも、TVドラマが題材だけど、書物そのものを語っているのか?
・「しばしの沈黙」
 ビール片手にトランプに興じる男たち。
 ある日、どんなお話でもしてくれると言う電話サービスにかける。
 サービスの女性が語る、時間が逆に進む世界の話。
 その登場人物が語る物語の中に出てくるのが、男たちの一人で……
 リンク作品の中ではかなり好きなんだけど、やはり捕らえどころありません。


スペシャリストの帽子 (ハヤカワ文庫FT)』よりはわかりやすくオススメ。
こっちも再読しておこうかなぁ。