THE EYE IN THE PYRAMID

ピラミッドからのぞく目〈上〉―イルミナティ〈1〉 (集英社文庫)

ピラミッドからのぞく目〈上〉―イルミナティ〈1〉 (集英社文庫)

ピラミッドからのぞく目 下 (2) (集英社文庫 シ 14-2 イルミナティ 1)

ピラミッドからのぞく目 下 (2) (集英社文庫 シ 14-2 イルミナティ 1)

『ピラミッドからのぞく目』ロバート・シェイ&ロバート・A・ウィルスン〈集英社文庫〉読了
〈THE ILLUMINATUS!〉三部作の第1巻
ゲーム化、舞台化などメディア展開を広げた、70年代の伝説的伝奇小説だとか。

左翼系雑誌社〈コンフロンテーション〉が爆弾テロに遭う。ニューヨーク市警のグッドマンとマルドゥーンは、編集長が世界支配を目論む秘密結社イルミナティを調べていたことを知り、それを追うことにする。〈コンフロンテーション〉の記者ジョージは取材先で突然保安官に投獄されてしまうが、イルミナティと戦う謎の男ハグバードに救出され、黄金の潜水艦に乗り込み、喋るイルカとともにアトランティス上で秘宝を巡ってイルミナティと戦いを繰り広げる。一方、アフリカの小国ではクーデターを巡って、核戦争の危機が迫り、ラスヴェガスでは最悪の細菌兵器が漏出しようとしていた。はたして、彼らはイルミナティの陰謀を阻止できるのか!?

これ、笑える。題名からしていけるでしょ?
アトランティスも、フランス革命も、第二次大戦も、右翼も左翼も、JFK暗殺も、ヒッピーも、ロックも、ラヴクラフトも、ビアースも、バックスバニーも、全て、イルミナティの陰謀につながってます。
今となっては、すっかり手垢が付きまくった陰謀論。だからこそ、ネタとして、信じるわけでも、意地になって否定するわけでもなく笑える今、読むべき小説。
全ての陰謀と歴史はつながっていると言うと『フーコーの振り子*1を思い出すけど、あれとは全く味わいが違う。俗っぽく、猥雑で、見た目からしてひじょうにジャンク。このインチキ臭さが堪らない。触感はなんか記憶にあると思ったら、『ムーンチャイルド (創元推理文庫)』と『ジュール・ヴェルヌの暗号―レンヌ=ル=シャトーの謎と秘密結社』に似てるんだ。さもありなん(笑)
文章は独特で、大勢の登場人物と事件が同時進行、というか、数行〜数ページ単位でめまぐるしく、場面転換もせずに時間・空間・視点が入れ替わっていくのは、ついて行くのに軽いトリップ感と疲労感が。ページ数は多くないんだけど、読み終わるのに時間がかかった。
巻末の背景解説は読んでおいた方が、多少は頭に入りやすいかも。
ところで、『ふしぎの海のナディア*2を思い起こさせるシーンが出てくるんだけど、元ネタの一つ? 偶然? それとも陰謀?(笑)