THE CURIOUS INCIDENT OF THE DOG IN THE NIGHT-TIME

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『夜中に犬に起こった奇妙な事件』マーク・ハッドン早川書房〉読了

数学の才能は素晴らしいが、コミュニケーションが上手く取れないアスペルガーの少年クリストファー。お母さんを心臓発作で亡くし、お父さんとふたり暮らし。ある夜、好きだった隣家の犬が、園芸用フォークで殺されているのを発見する。シャーロック・ホームズが大好きなクリストファーは、犯人捜しを決意する。お父さんに反対され、人との会話も外出も苦手だが、調査を進めるクリストファー。しかし、彼がたどり着いた真実は……

手触りは『アルジャーノンに花束を (ダニエル・キイス文庫) [ ダニエル・キイス ]』に近いかな。
ハズレの多い早川のソフトカバーの中では、面白い部類だと思う。だけど、描写はかなりリアル(たぶん)で、結構しんどい。
彼の個性故に、ただ電車に乗るだけでも一大冒険で、それをやり遂げた今ではどんなことでもできる、というラストは優等生的に感動したと書くべきなんだろうけど、それよりも、家族は大変だなぁ……という感想が先に出てしまいました。ラストも、明るい未来が開けていると思っているのはクリストファーだけだしなぁ。現状は、その想いで彼の努力どうこうともなりにくそうだし。
クリストファーの一人称だからこそ、いろいろと現実が透けて見えちゃうんで、せめて、もうちょい夢を見せて欲しかったかな、という読後感。
SF者としては、クリストファーの白日夢がかなり面白かった。それで1本読みたいような(笑)


ところで、元々はハリネズミの本箱から出ていた本なのね。知りませんでした。