STINGER

スティンガー〈上〉 (扶桑社ミステリー)

スティンガー〈上〉 (扶桑社ミステリー)

スティンガー〈下〉 (扶桑社ミステリー)

スティンガー〈下〉 (扶桑社ミステリー)

『スティンガー(上下)』ロバート・R・マキャモン〈扶桑社ミステリー〉読了

テキサスのさびれた町インフェルノに、奇妙な物体が落下してくる。たまたま現場近くにいた獣医のジェシーとその娘スティーヴィーは黒い玉を拾う。すると、スティーヴィーはまるで別人のようになり、ダウフィンと名乗る。黒い球には異星人が入っていて、スティーヴィーの体に乗り移ったらしいのだ。一方、郊外に巨大な黒いピラミッド状のものが降り立つ。それは光のドームのようなものを発し、インフェルノを外と遮断してしまう。ダウフィンがスティンガーと呼ぶそれは、ダウフィンを追ってきた賞金稼ぎだった。スティンガーはダウフィンを引き渡すよう、次々と町民を殺していく。対立している白人とヒスパニック系の不良グループ、いがみ合っている隣人達は団結し、スティンガーに立ち向かっていくが……

ベムラーで、『ヒドゥン』で、要するに『20億の針』系SFに、『エイリアン』『遊星からの物体X』『クリッター』『トレマーズ』『惑星アドベンチャー・スペースモンスター襲来』と言ったクリーチャーのイメージを山盛りによそった作品。
だから、展開も、ヴィジュアルも、ラストも、どこかで(映画で)見たことあるようなものばかりなんだけど、これがなかなか読ませます。
屍鬼』ほどではないんだけど、町の人々のキャラクターが描き込まれていて、極限状態において、それぞれのわだかまりが解けて協力していく様、少年達の成長は、お約束なんだけど、これが来る。
個人的には、ダメ保安官ヴァンスが幼年時のトラウマを克服するのと、緊急時にあってもエロに反応してしまうレイ、犬を探しに行くケイドがツボ。


せっかく閉鎖空間になったんだから、もうちょい町民同士の衝突、裏切りみたいのが欲しかったかな。あと、スティンガーの弱点がよくわからないまま終わっちゃうのが、ちょっと残念。
人工知能といい、異星人といい、○×ゲームは必須か?(笑)


読書と言うより、B級SF映画好きにはオススメ。