HANGMAN’S DAZEN

『絞首人の一ダース』デイヴィッド・アリグザンダー〈論創社海外ミステリ55〉読了
異色作家短編集のラインナップに並んでいそうな一冊。

 収録作品
・「タルタヴァルに行った男」 The Man Who Went to Taltavul's
・「優しい修道士」The Gentlest of the Brother
・「空気にひそむ何か」Something in the Air
・「そして三日目に」And on the Third Day
・「悪の顔」Face of Evil
・「アンクル・トム」Uncle Tom
・「デビュー戦」First Case
・「向こうのやつら」The Other Ones
・「かかし」Scarecrow
・「見知らぬ男」A Stranger in the Night
・「愛に不可能はない」Love Will Find a Way
・「蛇どもがやってくる」Run from the Snakes
・「雨がやむとき」When the Rain Stops

全体的に、普通の人が、生活がほんのちょっとだけ、いつもとずれたがために巻き込まれる恐怖と悲劇。それさえなければ、何事も起きなかったのに……
つまらなくはなかったんだけど、全体的にオチが読めちゃう作品が多い。
あと、アメリカの文化・生活を前提にした話が多い。


そんな中でお気に入りは、
・「タルタヴァルに行った男」
 酒場で靴磨きをしている少年。そこには飲んだくれては泣いている男がいた。
 彼はとんでもない罪を犯し、飲み続けているというのだが……
 最初のこれがかなりよかったので、ちょっと期待しすぎてしまいました。
 EQMMコンテスト第二席。
・「見知らぬ男」
 離婚を考えている女。
 叔母を病院で看取り、早朝、誰もいない地下鉄で帰ろうとすると、
 そこに怪しげな男が。
 まるで、気配を探る獣のようにじりじりと近づいてくる……
 短篇として典型的な作りですが、けっこう好きです。
・「蛇どもがやってくる」
 断酒治療で苦しむホームレス。
 公園で昼寝をしている母親から、女の子を連れて行く男を見かける。
 最近、世間を騒がせている殺人鬼か!?
 幻覚の蛇除けのお守りと渡され1ドルを崩しながら、二人を追う!
 衝撃的なラスト。きついなぁ。