THE GIRL IN THE GLASS

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『ガラスのなかの少女』ジェフリイ・フォード〈ハヤカワHM333-1〉読了
アメリカ探偵作家クラブ賞受賞作

大恐慌下のアメリカ。いんちき降霊術師のシェル、インド人助手役のディエゴらは降霊会で金持ちを食い物にしていた。ある日、いつものように降霊会の最中、シェルはガラスの中に少女の幽霊を見てしまう。しかも、彼女は数日前から行方不明になっている富豪の娘だった。今までは詐欺をしてきたが、彼女は助けてあげたいと考えたシェルは、富豪の家に行くが、そこには本物の霊媒師を名乗るリディアが。彼女の霊視でたどり着いた小屋の中には……!?

今までに読んだフォードの作品は、幻想が楽々と現実を侵食してしまう物語が多い。
今回も、ウソ、インチキ、いかがわしいものが潜む薄闇の境界がまだ緩やかな、ゆらゆらした作品を期待していたんですが、思っていたよりもライトで、そちらは『[rakuten:book:11882812:title]』の方が上かな。虚虚実実アメリカの闇の歴史の住人たち、というほど濃くはないけど、だからといって、つまらないわけではなく、かなり好みの作品でした。禁酒法時代好きだし。


キャラクターが魅力的で、主要キャラは無論のこと、サイドショー仲間たちも非常に生き生きと描かれています。この辺の蜘蛛小僧とか犬男とかゴム女をみっちりと書き込んで欲しかった(笑)。彼らの活躍は『フリークス』のラストを彷彿とさせます(そうか?)。一方の敵も、まるでモロー博士。現在のS-Fマガジンデッド・フューチャーReMixを連想してしまった。
ミステリとしてはどうなんだろ? ミステリ読みの感想も聞きたい。個人的には、これ、ミステリじゃないよね? 触感が(笑)


ラストで語られる、ガラスのなかの少女の推測はどうなんだろう? アントニーの推測は非常に素敵だと思うけど、全てが関係者という展開を考えると、やはり本当に見えていたと思いたいなぁ。