THE MAN WHO COULD ONLY WRITE THINGS and Other Stories

物しか書けなかった物書き(KAWADE MYSTERY)

物しか書けなかった物書き(KAWADE MYSTERY)

ロバート・トゥーイ、日本初の短編集。
ミステリマガジンを拾い読みしようと思っていたので、ちょうどいいタイミングでした。

 収録作品
・「おきまりの捜査」Routine Investigation
・「階段はこわい」The Victim of Coincidence 
・「そこは空気も澄んで」Up Where the Air Is Clean 
・「物しか書けなかった物書き」The Man Who Could Only Write Things
・「拳銃つかい」Pistoleer
・「支払い期日が過ぎて」Installment Past Due
・「家の中の馬」The Horse in the House
・「いやしい街を……」Down This Mean Street
・「ハリウッド万歳」Hooray for Hollywood
・「墓場から出て」 Bottomed Out
・「予定変更」A Change in the Program
・「犯罪の傑作」A Masterpiece of Crime
・「八百長」The Fix
・「オーハイで朝食を」Breakfast at Ojai

変な話ばかりなんだけど、「異色」とか「奇想」と呼ぶには、変なんだよなぁ(笑)
リッチー、カーシュと比べると(比べるのもなんなだけど……)、いい意味で何かが抜けている感じ。
「えっ、結局そんだけ!?」というオチが少なくないんだけど、なぜか不思議と納得してしまう。


お気に入りは、
・「おきまりの捜査」
 夫が死んでいるという通報を受けた警官。
 しかし、ベッドにはガウンを着た骸骨があるだけで……
・「階段はこわい」
 4回連続で妻が不審な死を遂げている夫。
 警察は彼を疑っているが、証拠は全くない。
 そして、5人目の妻が……
・「そこは空気も澄んで」
 ギャング志望の若者。
 自分を育ててくれた叔父から、組織のボスに紹介される。
 そこでほのめかされる会話は……
・「物しか書けなかった物書き」
 タイプを打つと、物を実体化できるようになった落ちぶれ作家。
 高級品を次々と書き上げ、それを売ってセレブな生活に。
 しかし、妻はさらに要求してきて……
・「支払い期日が過ぎて」
 モアマンの元を訪れた借金取り。
 彼はわけのわからないことばかり言って、なかなか返そうとしない。
 ふと、庭を見ると掘り返した後が。
 そういえば、彼の妻の姿が見えないが……
・「予定変更」
 薄気味悪いヒッチハイカーを拾ってしまったドライバー。
 実はすでに死んでいると言う。
 彼の目的は?


特に、「おきまりの捜査」、「そこは空気も澄んで」、「支払い期日が過ぎて」、「予定変更」辺りが好きかな。


奇想系作家好きは読んでおいて損はないでしょう。