ORBIT

[rakuten:book:11996627:detail]
『軌道離脱』ジョン・J・ナンス〈ハヤカワNV1135〉読了
てっきり青背かと思っていたら、白背でした。
ハヤカワNVを新刊で買うの久しぶり〜

セールスマンのキップは、民間会社による宇宙旅行に当選する。
同乗するはずの二組は急用によりキャンセル。キップは宇宙船を独り占めできることに。
しかし、軌道上に乗ったとき、デブリによってパイロットは即死。気密は保たれたものの、通信装置や推進装置は破壊されてしまう。
異常を知った地上では、救出策を考えるが、民間会社を嫌い、スペースシャトルに余計な危険を与えたくないNASA長官は協力しようとしない。
そんな中、キップはいつか未来の読者のために、これまでの人生や家族への想いをパソコンで記し始める。
だが、それがたまたま地球上のネットに流れ、全世界の人々がリアルタイムで彼の文章を読み、その内容に共感していく。
各国が救出作戦に乗り出すが、二酸化炭素が飽和状態に達するのは5日後。
はたして、彼は助かるのだろうか!?

人々の英知と善意を結集して救出作戦を行う、ていう話に結構弱いかも(『[rakuten:book:11502715:title]』『[rakuten:book:11931877:title]』とかね)
『軌道離脱』もそれに属すると思うんだけど、ちょっと感触が違う。
パターンとして、危機また危機の連続で、救助を待つ側とする側でいろいろと知恵を絞って乗り越えていくのが見所だけど、この作品にはそういうのが薄いんだよねぇ。
主人公のメッセージを図らずも全世界の人々が読んでしまうことがメインのネタで、しかも、その「良きアメリカ」的メッセージが人々の心や行動さえも捉えてしまう。一方で「強きアメリカ」であるNASA、空軍や官邸は無力でドタバタしているだけ。
と、まぁ、うがった読み方したくなっちゃうけど、普通に面白かったです。すこぶるリーダビリティいいし。映画化が予定されているそうだけど、いかにもハリウッド的。
ただ、ラストは個人的にちょっと……。