The Last of the Winnebagos and other stories

最後のウィネベーゴ (奇想コレクション)

最後のウィネベーゴ (奇想コレクション)

『最後のウィネベーゴ』コニー・ウィリス河出書房新社 奇想コレクション〉読了
コニー・ウィリスの中編集。全4作収録。


・『女王様でも』Even the Queen
 娘がサイクリストになるというので、一家は大騒ぎ。
 遠方で働いているの祖母までやってきて、彼女を説得しようとする。
 はたして、サイクリストとは?
 ストレートな、文字通り女性問題SF。
 個人的には笑っちゃったんだけど、女性はどう読むんでしょ?
 こういうの読むたびに、フェミニスト運動は理解に苦しむ、と言ったら怒られるか。
・『タイムアウト』Time Out
 自身の時間理論の実験のため、小学校の音楽室を借りる研究者。
 その手伝いをする近隣の主婦。
 しかし、彼女の周りでは、体操コーチの夫は帰宅せず、
 娘はバレーボール部のことばかり、さらには学校で水疱瘡も流行っててんてこ舞い。
 一方の実験は……
 中年の危機とタイムトリップ実験を絡めた作品。
 ほとんど主婦の日常。
 ラストのタイムパラドックス的な展開はけっこう好き。
・『スパイス・ポグラム』Spice Pogrom
 日本製の宇宙コロニー〈SONY〉にやってきたエイリアンたち。
 彼ら目当てで地球から無数の人が押し掛けて、コロニーは超過密状態。
 彼らは〈スペース・プログラム〉というテクノロジーを有しているらしい。
 婚約者が交渉チームにいるため、彼らの一人を部屋に泊めてくれと頼まれる。
 しかし、宇宙人はどんどんおみやげを買い、アパートには毎日のように人がやってくる……
 このドタバタ感はなかなかたまらないものがあります。
 でも、宇宙人と弁護士の企みの理由がわからない……
・『最後のウィネベーゴ』The Last of the Winnebagos
 これは再読なんだけど、やはり素晴らしい。
 ぶっちゃけ犬は苦手なんだけど、それでも犬への愛を共感する作品。
 犬好きの感想を是非聞いてみたい作品。
 傑作。

 
奇想コレクションもこれで10冊目。素晴らしいことです。
さて、次は他社から出たばかりのイーガンか、ヤングか、と思っていたら、また新たなラインナップが。

パトリック・マグラア『失われた探険家』
タニス・リー『悪魔の薔薇』
ジョン・スラデック『蒸気駆動の少年』
グレッグ・イーガン『TAP』
ジョージ・R・R・マーティン『洋梨形の男』
ロバート・F・ヤングたんぽぽ娘

うーむ。びっくり。
ジョン・スラデック未来の文学でも出るんだっけ? 何かの陰謀か?(笑)
この調子でマーティンブームを作って、ワイルド・カードも……無理か……
イアン・ワトスンとかも出してくれないかなぁ。
次はパトリック・マグラアが刊行予定。