SHERLOCK HOLMES IN ORBIT

『シャーロック・ホームズのSF大冒険』マーティン・H・グリーンバーグ編〈河出文庫〉読了
ホームズを題材にしたSF・ファンタジーアンソロジー

 収録作品
第Ⅰ部 過去のホームズ 
・「マスグレーヴの手記」……ジョージ・アレック・エフィンジャー
・「探偵の微笑み事件」……マーク・ボーン
・「ロシアの墓標」……ウィリアム・バートン&マイケル・カポピアンコ
・「“畑のステンシル模様”事件」……ヴォンダ・N・マッキンタイア
・「行方不明の棺」……ローラ・レズニック 
・「第二のスカーフ」……マーク・アーロンスン 
・「バーバリー・コーストの幽霊」……フランク・M・ロビンスン 
・「ネズミと名探偵」……ブライアン・M・トムセン 
・「運命の分かれ道」……ディーン・ウェズレイ・スミス 
・「リッチモンドの謎」……ジョン・デチャンシー 
・「サセックスの研究」……リーア・A・ゼルデス
・「数の勝利」……ゲイリー・アラン・ルース
・「消化的なことさ、ワトスン君」……ローレンス・シメル
・「未来の計算機」……バイロン・テトリック
第Ⅱ部 現在のホームズ 
・「思考機械ホームズ」……スーザン・キャスパー
・「シャーロック式解決法」……クレイグ・ショー・ガードナー
・「自分を造った男」……デイヴイッド・ジュロルド
・「脇役」……クリスティン・キャスリン・ラッシュ
第Ⅲ部 未来のホームズ 
・「仮想空間の対決」……ジャック・ニマーシャイム
・「時を超えた名探偵」……ラルフ・ロバーツ
・「シュルロック族の遺物」……ジョジーファ・シャーマン
・「不法滞在エイリアン事件」……アンソニー・R・ルイス
・「五人の積み荷」……バリー・N・マルツバーグ
・「未来からの考察――ホームズ最後の事件」……ロバート・J・ソウヤー
第Ⅳ部 死後のホームズ 
・「幻影」……ジャニ・リー・シムナー
・「“天国の門”の冒険」……マイク・レズニック

ぶっちゃけ、アンソロジーとしてはイマイチかも。
なんか、似たような話が多いんだよなぁ。ホームズの縛りがあるからしょうがないけど。
ちなみに、ハドソン夫人と訊かれたら、
おしとやかでありつつ、活発な若い未亡人で犬顔(声:麻上洋子)、と答えてしまうほど、
ホームズは全く読んだことがありません。
それが原因か!?


お気に入りは、
「マスグレーヴの手記」、「探偵の微笑み事件」、「ロシアの墓標」、「消化的なことさ、ワトスン君」、「未来の計算機」、「自分を造った男」、「シュルロック族の遺物」
あたり。
特に、「マスグレーヴの手記」は、『リーグ・オブ・エクストラオーディナリー・ジェントルメン (Vol.1) (JIVE AMERICAN COMICSシリーズ)』のオープニングだけ書いたようなショートショートで、続きが読みたくなってしまう。無理だけど。
「ロシアの墓標」は、「小惑星の力学」とアレを上手く結びつけたよなぁ。
「シュルロック族の遺物」はホーカみたいな感じの作品。絶対ラストの一行を言わせたいがために書いたはず(笑)
「未来からの考察――ホームズ最後の事件」はかなり好きなんだけど、以前読んだので、ここで挙げるのは控えます。


過去のホームズ編は、同時代の事件・人物(フィクション含む)と絡める話がほとんど。
その絡め方が上手いかどうかで、話の出来も左右されている。
それにしても、クロスジャンルさせるには、贅沢な時代だよなぁ。
ドラキュラ、切り裂きジャック、アリス、ディファレンスエンジン、ウェルズ、ヴェルヌ、フー・マン・チュー……
アラン・ムーアキム・ニューマンが書きたくなるわけだよ(笑)


あとがきにもあるけど、ホームズ・パスティーシュでは、個人的にはニール・ゲイマンの「エメラルド色の習作」が最高に好き。