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数学的にありえない〈上〉

数学的にありえない〈上〉

数学的にありえない〈下〉

数学的にありえない〈下〉

『数学的にありえない』アダム・ファウアー〈文芸春秋〉読了
あらすじと題名にそそられて着手。

元天才数学者のケイン。ギャンブル中毒で、今や破滅寸前。ポーカーで大負けし、1万ドル以上の借金を作ってしまったのだ。しかし、死ぬほどの幻臭に悩まされ、何もできない。しかし、それはある能力の前触れだった。そんなある日、1回2000ドルで、実験の被験者にならないかと誘われる……
CIA工作員のヴァナーは情報を様々な国に売っていた。しかし、情報に傷があり、新たな機密を売らないと命がない。そんな中、突然NSAへの転属を命じられる……
謎の研究を続けるトヴァスキー博士。彼はNSA助成金を頼むが……
NSAの秘密機関《科学技術研究所》のフォーサイスは私腹を肥やしていたが、突然、あと1ヶ月で失脚してしまうことに。そこで、トヴァスキーの研究に目を付ける……
夢のお告げで宝くじを当てたトミー。突然、彼は旧友から電話がかかってくる……
はたして、無関係だったはずの彼らの人生はどう交錯するのか?
ケインの能力とは? トヴァスキーの研究とは? ヴァナーの運命は?

んん〜〜
今年読んだ中じゃリーダビリティは最高だし、種を撒きまくる上巻は惹きつけられっぱなしだし、ハリウッド的でそれなりに面白いんだけど、かなり期待と違いました。
てっきり、邦題から、超計算能力で、数学的にあり得ない確率の出来事を引き起こして、危機を乗り越えていくような話(やってることは同じようなもんなんだけど)かと思っていたら、なんというか、イーガンでした(ネタバレ)。
宇宙消失 (創元SF文庫)』(←かなりネタバレ)が全くはまれなかった人間なんですが、そう言う人のための予習として読むにはいいかも。文系の人間にも分かり易く説明してくれます。
上巻は面白いんだけど、下巻がドンパチに終始しちゃうのがなぁ。
あと、単なるパズルのピースとして、登場人物が殺されるのもちょっと……
あそこまで壮大な能力なのに、あれだけ? はけっこう好みのオチ(笑)
文庫にして欲しかった……


追記:
数学の天才でシュレディンガーの猫を知らないのはまずくない?
NSAを知ったのは『スニーカーズ [DVD]』(ハッカー映画の最高傑作!)なんだけど、それ以来、本当に悪役でしか見たことない(笑)