THE PANIC HAND Vol.2
- 作者: ジョナサン・キャロル,浅羽莢子
- 出版社/メーカー: 東京創元社
- 発売日: 2006/07/11
- メディア: 文庫
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ジョナサン・キャロルの短篇集
大昔に長篇読んでイマイチはまれず、
先月、『パニックの手 (創元推理文庫)』を読んで、やはりはまれず、三度目の正直。
収録作品
・「熊の口と」 A Bear in the Mouth
・「卒業生」 Postgraduate
・「くたびれた天使」 Tired Angel
・「あなたは死者に愛されている」 The Dead Love You
・「フローリアン」 Florian
・「わが罪の生」 The Life of My Crime
・「砂漠の車輪、ぶらんこの月」 A Wheel in the Desert, the Moon on Some Swings
・「いっときの喝」 A Flash in the Pants
・「黒いカクテル」 Black Cocktail
おや? 意外に面白い。
実際『パニックの手』より面白かったのか、ただキャロル味に慣れたのかは不明だけど(笑)
読み始めたときの感触からは、思っていたのと違う場所にすとんとラストで落とされる落差は、なるほど、味わえました。
人生を愛する(愛していた)というテーマが多いかな。
気に入ったのは、
・「卒業生」
たびたび、嫌な寮生活の頃に戻った夢を見る中年の男。
またいつものように夢を見るが……
結局、理由も結果も分からないんだけど、これは嫌だなぁ。
・「くたびれた天使」
自分の向かいのアパートの女性を覗き続ける男。
その彼女と付き合うようになるのだが、
想像していたほど素敵ではない。
そこでばれないように彼女に脅迫電話をかけ始める。
守護天使ってこと?
・「あなたは死者に愛されている」
軽い交通事故を起こしてしまった女性。
結局、相手の方が悪いと言うことになったのだが、
その日から、彼女を脅すような出来事が起こり始める……
あらすじからは全く予想も期待もしていないラストに突き落とされます。
意味わからん。
・「フローリアン」
平凡な夫婦から生まれた、美しい子供フローリアン。
夫は子供のためにお話を書いて上げるが、
ある日、病気でフローリアンは亡くなってしまう。
普通にサイコさんで面白かった。
・「砂漠の車輪、ぶらんこの月」
3ヶ月で失明するとわかった男。
彼は一流のメイクアップアーティストとカメラマンを雇い、
自分が10歳ずつ年取っていく写真を撮ってもらうことにする。
しかし、そこに映っていたのは……
人生を描いた作品ではこれが一番気に入った。
魂どうこうっていう話は個人的には余計な気がするけど。
・「黒いカクテル」
ラジオ番組のゲイの司会者。
恋人を亡くし、紹介された巨漢は非常に楽しい男だった。
彼が幼いとき、いつも助けてくれた親友がいたのだが、
実は今もその時の姿のまま、彼のそばにいるという……
「シシジィじゃない」をちょっと思い出したけど、
ラストの置いてけぼり感は最高。笑っちゃいました。
それにしても、もうちょいバランスよく二分冊ではなかったの?