CITY JITTERS

白昼の闇 (海外文学セレクション)

白昼の闇 (海外文学セレクション)

『白昼の闇』クリストファー・ファウラー〈東京創元社〉読了
 日本じゃ発表作の少ないファウラーの、街を舞台にしたホラー短篇集。

 収録作品
・シティリンク1  City Jitter 1: Underground Parking
・「左の道」Left Hand Drive
・シティリンク2  City Jitter 2: Taxicabs
・「もうまもなく」Any Minute Now
・シティリンク3  City Jitter 3: In the Arcade
・「スカイ・マスター」Change for the Sky Master
・シティリンク4  City Jitter 4: Nightclubs
・「ナイトクラブ」Perry in Seraglio
・シティリンク5  City Jitter 5: Robbery
・「虎の牙」Tigertooth
・シティリンク6  City Jitter 6: Strip Clubs
・「友が消えた夜」Vanishing Acts
・シティリンク7  City Jitter 7: Slums
・「彼女の至福のひととき」Her Finest Hour
・シティリンク8  City Jitter 8: Hotels
・「浄化」The Cleansing
・シティリンク9  City Jitter 9: Suburbia
・「なにかがおかしい」What Is Wrong with This Picture?
・シティリンク10  City Jitter 10: Communication Breakdown
・「むなしさが募るとき」Loaded Blanks 
・エピローグ Epilogue

10の短篇と、その間にアメリカに出張に来たイギリス人のショートショートが挟まる。
そこに出てきた場所などを受けて、次の短篇が始まり、
ショートショート自体は全部で一つの話になっている、という構成。


以前、ミステリマガジンに載った「麻酔」もそうだったけど、嫌な話ばっかり。
・「左の道」
 地下駐車場に車を停め、出口に向かうが、いつまで経っても料金所が見えてこない。
 左の矢印に従い続けるが、道はどんどん下に向かっていて……
 個人的にはこれが一番恐かった。閉塞感系は苦手かも。
・「虎の牙」
 空き巣にあった男。
 貯めた金は違法ダビングで稼いだものだから、警察にも言えない。
 そこに、犯人が落としたと思しき身分証明証を見つける。
 その住所に行き……
 ケッチャッムっぽい。
・「友が消えた夜」
 学校卒業を間近に控え、親友と街に出る。
 普段は親の目が光っているが、今日は二人きりなので歓楽街を冷やかす。
 そこで、たまたま入ったストリップクラブ。
 ちょっと目を離した隙に、親友は姿を消していた……
 「外国の更衣室」的な都市伝説っぽいテイスト。
 収録作の「もうまもなく」を読んだときも感じたんだけど、
 都市を舞台にしたホラーは、極めて都市伝説と近くなるのか。
 ありそうと感じさせることと怖がらせることは、親和性が高いもんね。
・「彼女の至福のひととき」
 一人暮らしの老婆。
 チンピラ二人組は、彼女にまた戦争が起こったと思いこませ、
 貴重品を奪おうと企むが……
 唯一、ラストがすっとする話(そうか?)
・「なにかがおかしい」
 結婚して20年。
 いつものように話すこともなく、TVの前に座っている夫婦。
 しかし、それは何かがおかしかった。
 その理由は……
 この短篇集の中ではちょっと異色かな。
 まぁ、割と普通のホラー。


かなり、さくさくと読み終わってしまった。
上にも書いたけど、都市伝説集を読んでいるような感じ。
読後感も嫌な気分になるものばかりで(都市伝説らしく)、そういう意味では嫌いじゃないんだけど、
全体的に小粒で、どかんと来るものがなかったなぁ。