TOUGH, TOUGH TOYS FOR TOUGH, TOUGH BOYS

元気なぼくらの元気なおもちゃ (奇想コレクション)

元気なぼくらの元気なおもちゃ (奇想コレクション)

『元気なぼくらの元気なおもちゃ』ウィル・セルフ河出書房新社 奇想コレクション〉読了
奇想コレクション第9弾!
日本初の、ウィル・セルフ短篇集(『コック&ブル』も長篇じゃないけど)

 収録作品
・『リッツ・ホテルよりでっかいクラック』The Rock of Crack as Big as the Ritz
・『虫の園』Flytopia
・『ヨーロッパに捧げる物語』A Story for Europe
・『やっぱりデイヴ』Dave Too
・『愛情と共感』Caring, Sharing
・『元気なぼくらの元気なおもちゃ』Tough, Tough Toys for Tough, Tough Boys
・『ボルボ七六〇ターボの設計上の欠陥について』Design Faults in the Volvo 760 Turbo: A Manual
・『ザ・ノンス・プライズ』The Nonce Prize

もし、将来、奇想コレクションがサンリオSFと化した世界が訪れるとしたら、
『猫城記』(その他ご想像にお任せします)の座を占めるのは、この1冊かも……


これまでが基本的にSF寄りだったのに対して、今回はかなり普通の小説(っぽい)。
……なんだけど、設定もオチもわけわからない話ばかり。
変な小説は好きだけど、ちょっとベクトルが違いました。
あと、ヤク中小説は、あんまり好みじゃないかも。幻覚とかはリアルだけど。


お気に入りは、
『愛情と共感』『ボルボ七六〇ターボの設計上の欠陥について』『ザ・ノンス・プライズ』あたり。
幼児性(?)が巨人と化し、一緒に暮らしている世界を描いた『愛情と共感』がベストかな。
変な小説好きとしては、
コテージに住む男がそこにいる虫達と意志疎通を始める『虫の園』が面白かったけど、
分かり易くて、ウィル・セルフっぽくないというアンヴィバレンツな作品(笑)


個人的には、やはりウィル・セルフはちょっと口に合わない。
新しく訳されても、自分から進んで読むことはないかなぁ。
まぁ、この短篇集が出たのは快挙かもしれないけど。


次はコニー・ウィリスの予定だそうです。