THE JANE AUSTEN BOOK CLUB

ジェイン・オースティンの読書会

ジェイン・オースティンの読書会

『ジェイン・オースティンの読書会』カレン・ジョイ・ファウラー〈白水社〉読了
少し前のSFマガジンで言及されていたので着手。

ジェイン・オースティンの読書会に集まった6人。
まとめ役で、ドッグブリーダーのジョスリン。
ジョスリンの子供の頃からの親友で、夫に家を出て行かれたばかりのシルヴィア。
最年長で、おしゃべり好きなバーナデット。
シルヴィアの娘で、レズビアンのアレグラ。
フランス語教師のプルーデット。
唯一の男性メンバーのグレッグ。
彼らの人生模様が描かれる。

要するに、SFオタは、電車で女性を助ける前に、ル=グゥインを使え! ってこと。
要しすぎ?


恥ずかしながら、ジェイン・オースティンは全く知りません。
『エマ』と『自負と偏見』の題名くらい。
ジェイン・エア』と混ざってた(バカ……)
どうやら、作品は、ジェイン・オースティン風の流れで書かれているらしいんだけど、
当然のことながら、まるでわからず。
好きな人はニヤリとするでしょう。


ひたすらジェイン・オースティンの感想を言い合っている話、ではなく、
6人の人生がそれぞれ語られていく。
表面上はにこやかにしてるんだけど、
その内面では、感想について文句していたり、服装について皮肉を言っていたり。
最初、語り手が誰かわからず混乱したけど、読んでいる内に気にならなくなって、これがなかなか効果的。


アメリカでは読書会はかなり盛んだそうです。
日本でのイメージと違って、持ち回りでメンバーの家に集まり、お茶しながら談笑する、という感じ。
それによって、メンバーの普段の生活が浮き彫りになる。
特に、グレッグのことはジョスリン以外、誰も知らない。
彼の家で読書会が開かれる番になり、そこにあったのは沢山のSF!
そう、彼はSFオタクだったのです。
そもそも、カレン・ジョイ・ファウラーって、昔のSFマガジンに短篇が載ってた人、というイメージしかない。
普通の小説書くようになってたのね。
やはり、SFオタクはああいうイメージなのか。『暗黒太陽の浮気娘 (ミステリアス・プレス文庫―ハヤカワ文庫 (10))』と変わってない(笑)
はたして、SFとオースティンの越境は可能なのか!? 
メンバーの中で市民権を得られるのか!?
そして、イーブンに持っていけるのか!?(勝ちはあり得ないので)
やはり、異端者グレッグに肩入れしてしまう。
グレッグが好きだ言う『ノーサンガー・アビー』くらい読んでみようかしら。


というわけで、ル=グゥインは装備しておけ!
……個人的には、コニー・ウィリスの方が好きだけど。


巻末に、ファウラーによるオースティン作品のあらすじ、
文学者などによるオースティンの感想、
『ジェイン・オースティンの読書会』の読書会用の質問状があって、これも面白い。