伝説の峠
- 作者: 安家達也
- 出版社/メーカー: 未知谷
- 発売日: 2005/07/01
- メディア: 単行本
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先日の『自転車少年記』で魂が熱くなったため、続けてツール本。
山と山岳スペシャリストに焦点を当てた一冊。
以前、トリビアで取り上げられた、ツール選手が列車を使ってズルをした、
というエピソードも含まれている。
ただ、この話は、トリビアに出てきたのとは別の本を調べると、
とても列車なんかに乗ってられるような状況ではないらしく、真相は闇の中。
まぁ、100年前の話だからね。
ちなみに、当時のレースは苛酷さを極め、ステージ優勝者でも15時間もかかっていた。
そのため夜明け前にレースを始めたため、ズルをするのは容易だったとか。
そこで、夜間走行をなくすために時間短縮し、その分標高差をつけよう、
ということで考えられたのが、山岳コースの導入。
当時は、変速ギアは使用できず、自転車が壊れても交換は禁止、他人の手を借りてもいけない、という想像を絶するもの。
クリストフという選手は、フォークが折れてしまったため、近場の鍛冶屋に飛び込み、自分で修理を始める。
それでゴールしたが、彼にはペナルティが課せられる。
その理由は、鍛冶屋の息子がふいごを吹いたため。
ドラマティックなエピソードでてんこ盛りなんだけど、特にお気に入りは、プリドールとアンティクルの話。
選手時代はあまり仲のよくなかった二人のライバル。
引退後、アンティクルは末期の癌だとわかる。
切除しなければと言う医師に対して、「ツールがおわってからにしてくれ」と答えたと言われている。
10月にアンティクルは亡くなるんだけど、
その前日、見舞いに来たプリドールにこう言ったらしい。
「悪いな、また君は僕より後だ」
やばっ! 書いてるだけで泣きそう。
他にも、現代ツールの戦術を作り上げコッピとキアプッチの宿命的な関係、
「山岳の天使」ガォル、「トレドの鷹」バーモンテスなどなど。
パンターニは名前が出てきただけで泣ける。
ツールの存在を知って、見始めてから15年くらい。
名前も見た目もすぐ覚えたし、リアルタイムで活躍を知ってた選手だったからなぁ。
あの事件は本当にショックでした。
そんなわけで、ツール好きにはオススメ。