COME AND GO MAD

『さあ、気ちがいになりなさい』フレドリック・ブラウン早川書房 異色作家短編集〉読了


まさか、まさかの復刊!
まさか、この題名で出ちゃうとは思ってませんでした。


異色作家短編集が刊行されるのはこれで3度目。
サイズは最初の時と同じ大きさ。
2回目の時には出なかった短篇集も多くあり、今回は『瓶詰めの女房』以外は出る模様。
その代わり、アンソロジーが3冊出るようです。嬉しいじゃないですか。

収録作品
・『みどりの星へ』 Something Green
・『ぶっそうなやつら』 The Dangerous People
・『おそるべき坊や』 Armageddon
・『電獣ヴァヴェリ』 The Waveries
・『ノック』 Knock
・『ユーディの原理』 The Yehudi Principle
・『シリウス・ゼロ』 Nothing Sirius
・『町を求む』 A Town Wanted
・『帽子の手品』 The Hat Trick
・『不死鳥への手紙』 Letter to a Phoenix
・『沈黙と叫び』 Cry Silence
・『さあ、気ちがいになりなさい』 Come and Go Mad

個人的お気に入りは、
・『ぶっそうなやつら』
 人気のない駅に列車を待つ二人の男。
 町では犯罪者が逃げたというサイレンが鳴り、
 二人はお互いがその脱走犯なのではないかと、緊張するが……
・『電獣ヴァヴェリ』
 ある日、過去のラジオ放送が流れる。
 しかも、どんどんそれはひどくなる。
 どうやら、電波生命体のようなものが餌を求めて地球にやってきたらしい。
 彼らはラジオ電波だけでなく、電気も食べ始め、世界中から電気が消え……
 あらすじだけだとパニックものっぽいんだけど、かなりほのぼの。
 結構好き。
・『ユーディの原理』
 友人が変な機械を発明した。
 それを被り、何か命令して頭を下げると、ユーディという小人がやってくれるというのだ。
 試すと、確かに目の前に酒が現れる。
 しかし、実はその装置は……
 ちょっと『火星人ゴーホーム (ハヤカワ文庫 SF 213)』っぽいかも。
・『不死鳥への手紙』
 何万年も生き続けいてる男。
 彼は今まで何度も文明の興亡を見てきた。
 文明は頂点を極めると滅亡し、また最初から新たな文明が生まれるのだ。
 彼はそれらのことを手紙に書き続ける。
・『沈黙と叫び』
 汽車を待つ間、駅で見かけた大男。
 駅長が言うには、彼は耳が聞こえず、それを利用して浮気した妻を殺したという。
 しかし、証拠がないため何もできない。
 彼が毎日のように駅に来ている理由は?
 ラストがぞくっと来る。
 これが一番パンチが効いてたかな。


ちなみに、表題作はイマイチ。
どんな凄い作品なのかと、期待しすぎたのかも(笑)
みどりの星へ』の方が、表題作の雰囲気に近いような……


ちなみに、翻訳者が同じ星新一と言うことで、『フレドリック・ブラウン傑作集』とけっこう被ってる。
まぁ、こっちもとっくに絶版だけどね。