KINETIC

Kinetic

Kinetic

『KINETIC』Kelley Puckett〈Dc Comics〉読了


珍しくリーフの時から読みたくて、TPにまとまるのを待っていた作品。


ハイスクール2年のトムは、
ガリガリに痩せ、右手は不自由で、常に薬を摂っていなければ倒れてしまうという、
ひどく弱い体の持ち主。
ある日、引っ越してきたばかりだというアンジェラと出会い、家まで送っていく途中、
彼女に弱いところを見せたくなく、注射の時間を無視して倒れてしまう。
その夜、トムは、トラックにぶつかるが、自分に傷一つなく、トラックの方が壊れるという夢を見る。
しかし、次の日、現実に彼の肉体は不死身になり、右手も動き、超人的な怪力を発揮するようになる。
スーパーヒーローが好きなトムはその超能力を使って、何をしようかと考えるが……


スーパーパワーを手に入れたことにより、
隣に座った失礼なデブを叩きのめそうと思ったり、
嫌な同級生の頭を潰してやろうと妄想したり、
なんとなく、片想いのアンジェラの家に行って、彼女の着替えを覗いてしまったり……
しかし、基本的に善人のトムは、やはりスーパーヒーロー的な行動に憧れる。
それでも、彼の言動は変わり、
超人になっても、自分の本心がなかなか告げられず、常に自問自答をくり返す。
自分は何を成すべきなのか?


1作目『スパイダーマン』の超能力を得たばかりの時をピックアップしたような、
なんというか、あれ以上に精液臭いストーリー(笑)


超人になったら、したり考えたりするであろうこと、一通りやってくれるトム。
でも、オタク的な痛々しさよりも、どこかもの悲しさがあるのは、
ここにいるのが、力に酔うことも、慢心することもなく、
「普通」の生活ができることを喜ぶ、真面目な普通の少年だから。
両手でステーキが食べられることに涙するシーンは感動。
大都市でもなく、事件もヴィランも存在せず、トムはスーパーパワーをどうするのか?
最後に、彼は何を失い、何を得るのか?


絵も内容も地味だけど、個人的にはなかなか楽しめました。