THE AMAZING ADVENTURES OF KAVALIER & CLAY

カヴァリエ&クレイの驚くべき冒険

カヴァリエ&クレイの驚くべき冒険

『カヴァリエ&クレイの驚くべき冒険』マイケル・シェイボン早川書房〉読了

1939年、ニューヨークに暮らすサム・クレイの元に、従兄のジョー・カヴァリエがやって来る。
彼は、ナチスが迫るチェコから一人で逃れてきたのだ。
ジョーの画才を知ったサムは、金が要るという彼に、ある仕事を思いつく。
サムは、パルプ雑誌や誕生間もないアメコミが好きで、
二人で新たなヒーローを創り出そうというのだ。
その名は、あらゆる束縛から人々を開放する超人マジシャン、エスケーピスト!
雑誌は売れ、ラジオドラマ化、映画化と、二人のコンビで順調に見えたが、
大戦の影が二人を引き裂くことに……

ピューリッツァー賞受賞の小説なんて初めて読みましたわ。漫画はあるけど。


アメコミ黎明期からメディアの拡大、そして魔女狩りまでの時代を横軸に、
ジョー・カヴァリエの世界各地での冒険とサム・クレイのアメリカでの日々を描く。


あとがきによると、翻訳は、作者による海外用の縮約版だそうだ。
原著は3倍くらいあるらしく、そのせいなのか、結構時代が一気に跳ぶ。
原著の情報は全く知らないんだけど、
よくある家族の年代記っぽく、まるまる十数年間のことが細かく書かれていたり、
サムの様子も詳しく描写されていたりするのかな?
翻訳版は、ジョーがメイン。
アメコミのことも削られてりして……


ただ、その分、さくさく読める。
悪くいえば、ダイジェスト風。
帯には映画化決定(2001年現在)ってなってるけど、確かに映画っぽいかも。


個人的には戦時中のアメリカの様子とか、
ラストのアメコミ暗黒時代、ドクター・ワーサムのこととか詳しく読みたかったなぁ。
原著がどうなってるか分からないから、なんとも言えないけど。


栄光と挫折、っていうほど落ちぶれる感じもないから、イマイチ読後に残らない。
それを感じるより先に場面がどんどん進んじゃうんだよね。
アメコミ部分は面白かったけど。


ちなみに、作中のヒーロー、エスケーピストはスピンオフして、Dark Horseからコミック化されてます。