BLACKSAD Quelque part entre les ombres

ブラックサッド -黒猫の男-

ブラックサッド -黒猫の男-



『ブラックサッド−黒猫の男−』フアン・ディアス・カナレス&フアーノ・ガルニド〈早川書房〉読了


どういうわけか、突如、早川から出たバンド・デシネ。


女優のナタリアがベッドで殺されて発見される。
彼女の昔の恋人、探偵のブラックサッドは調査を始める。
現在、ナタリアと付き合っていたらしいレオンという脚本家もまた姿を消していた。
調べていくうちに、ブラックサッド自身も命を狙われ、
事件の裏に巨大な権力の存在を知る……


昔ながらのハードボイルド探偵もの。
主人公ブラックサッドは、タフで、常に憎まれ口を忘れず、トレンチコートという姿。
これだけでは、全く没個性的だけど、
この作品の特徴は、全てのキャラクターが動物で描かれていること。
ブラックサッドは猫、警察は犬、密偵はネズミ、ボクサーはゴリラ……と言う具合。
BDって、エンキ・ビラルとシュイテンくらいしか知らないんだけど、
『ブラックサッド』は、いわゆるそういうBDのイメージとは絵柄がだいぶ違う。
非常に表情豊かで、ディズニーのアニメに近いかも。
しかし、それでもBDを感じさせるのは、その一つ一つのコマ。
すこぶる狭い私見だけど、1コマで1枚の絵として成立しているのは、
日本の漫画やアメコミよりも、BDの方が完成度が高いと思うんだよねぇ。
悪い言い方すれば、動きがないのかもしれないけど……
P8のダンスレッスンのコマとか、
P32の1コマ目の木漏れ日のシーン。
トリミングした複製原画とかあったら、買っちゃうかも。

ストーリーよりも、絵に浸る漫画。