THE WASP FACTORY

蜂工場 (集英社文庫)

蜂工場 (集英社文庫)

『蜂工場』イアン・バンクス集英社〉読了


薦められたものの、部屋から見つからず、
結局ブックオフの方が速く見つかったという曰く付き(?)の本。


町から離れた小さな島で父と暮らす16歳のフランク。
彼は幼い頃、ペニスを犬に噛みちぎられ、肉体的なコンプレックスを抱え、
学校にも通わず、小動物を儀式かがったやり方でなぶり殺す日々を送っていた。
そんなある日、精神病院に入院しているはずの兄、エリックから電話がかかってくる。
エリックは犬に火をつけたり、子供にウジ虫の塊を食べさせたりして捕まったのだ。
フランクはそんな彼を愛すると同時に、恐れてもいた。
彼は病院から脱走し、家に向かっているらしい。
会いたいのだが、一体彼は何をするつもりなのか?
フランクは蜂工場に意見を伺う……


う〜ん。なんとも変な小説。
鬼畜な展開を期待してたら、肩すかしを食らって、別次元に転がり落ちた感じ。
雰囲気としては、ケッチャムと『異形の愛』の中間辺りかなぁ。
手法的には、その両者よりもモダンホラーっぽい。
兄の存在が、超自然現象的に見えてしまいました。最後まで存在を疑って読んでた。

生理的嫌悪感は、ケッチャムより上かも。
幼少時に、白い小石だと思って拾ったら、雀の頭蓋骨だったというトラウマがフラッシュバックしてしまいました(笑)
動物の破片や死体を呪物的に扱うシーンはかなり気色悪い。
題名の蜂工場とは、古い時計を改造して作った託宣の機械。
フランクはここぞというときに、そこに蜂を入れ、その死に様で未来を占っている。


フランクは自分なりの価値観で、幼い従兄弟や弟たちをばれないように殺しているんだけど、
そんなことは後半、どうでもよくなってくる。
エリックの精神が崩壊した原因が強烈。
そこから、一気に驚愕のラスト!
よく「結末は誰にも言わないでください」っていう謳い文句があるけど、
まさにこの小説は、最後の一行のためだけにあるようなもの。
今まで読んできたことがそれで帳消しになると言うか、
そのオチの為だけに、全てが後付けされたと言うか。


ギャフン。