TUF VOYAGING

『タフの方舟2 天の果実』ジョージ・R・R・マーティン〈ハヤカワSF1516〉読了

タフシリーズの連作集、第2巻。まー、原著では1冊なんだけど。


収録作品
・『タフ再臨』Second Helpings
 あれから5年後、修理費の半金を持って、再びス=ウスラムにやってきたタフ。
 トリー・ミューンはまだポートマスターの座にいた。
 前回の方舟騒動は、トリーと海賊タフのロマンスとして映像化され、人気を博していた。
 それによって、失脚を免れていた。
 しかし、人口問題は以前にも増して深刻。
 食糧が増えたため、更に出生率が高まったのだ。
 タフが次に考えた手は……
・『魔獣売ります』A Beast for Norn
 惑星ライロニカには12の貴族がおり、その領地の動物を調教し、
 闘技場で戦わせる。その勝率によって、惑星に入ってくる富を分配しているのだ。
 最下位の貴族に仕える調教師が、タフの元に魔獣を売ってくれとやって来る。
 タフは六頭の鈷豹とそのエサと跳び鼠なるを用意する。
 鈷豹は無敵を誇り、連戦連勝。
 すると、今度最下位になった貴族が……
・『モーゼ合戦』Call Him Moses
 あるレストランで襲われたタフ。
 その暴漢の惑星は、モーゼと名乗る宗教者によって環境戦争を仕掛けられ、
 文明が崩壊したという。
 彼はタフがモーゼの仲間だと考えていたのだ。
 不愉快な疑いを晴らすため、タフはその惑星に出向くことに。
・『天の果実』Manna from heaven 
 更に5年後。残金を持って、ス=ウスラムにやってきたタフ。
 トリー・ミューンは総相となっていた。
 一部の特権階級のわがままにより、食糧問題はまるで解決しておらず、
 ス=ウスラムは抜き差しならぬ状況になっており、
 近隣惑星と戦争に突入するのは時間の問題。
 ついに、タフが下した最後の方法は?


気に入ったのは『魔獣売ります』と『モーゼ合戦』
1巻のタフが、割といい人だったのに対して、この2作は阿漕な商人という彼が楽しめる。
どちらか1作と言われたら、
金にがめついのは『モーゼ合戦』の方だけど、
怪獣好きとしては『魔獣売ります』を挙げるかな。


最終話、『天の果実』はそれまでとうって変わって重い。
ラスト、トリー・ミューンの苦悩と決断が、非常に苦い物だけど、
それと同時に、今まで様々な星の環境を変えてきたタフの言葉もまた重い。


これでシリーズは全部らしいけど、また書いて欲しい。