2005年4月号

S-Fマガジン 2005年 04月号

S-Fマガジン 2005年 04月号

今月は『ベストSF2004上位作家競作』


翻訳物は4作
『ひとりっ子』……グレッグ・イーガン
 並行宇宙論に取り憑かれた男。
 彼は量子コンピュータによる重ね合わせを遮断して計算できるコンピュータを開発する。
 子どものいない彼ら夫婦は、人造人間の養子をもらい、
 そのコンピュータを積んで、子どもに最善の人生を選択してもらいたいと考えるが……
 『万物理論』で、苦手だったイーガンを面白いと思ったのも束の間、
 この短篇は、なかなか読み進められませんでした。
 話のキモの量子コンピュータによる並行宇宙論が全く理解できなかったので、
 あらすじも書けない。うーん。重ね合わせとか、何?
 こういう、選択によって分岐が起こる並行宇宙ものを読むといつも思うんだけど、
 自分の人生だと、どの辺の分岐まで遡ったら、決定的に違う人生を辿ることになんだろ?
 それとも、些細な選択だけで、変わっちゃうのかな?
『火葬』……クリストファー・プリースト
 ドリーム・アーキペラゴもの。
 女性問題から逃れるために、故郷を棄ててドリーム諸島(アーキペラゴ)にやって来たグライアン。
 叔父の友人の葬儀に、その代理として、出席することに。
 ドリーム・アーキペラゴには、無数の伝統や決まりがあり、
 グライアンは火葬の葬儀は初めてだった。
 その会場で、アラニアという女性と目が合う。
 なぜか彼に淫らな視線をよこし、二人は森の奥の家に行くが……
 ドリーム・アーキペラゴ・シリーズは別に話がつながっているわけではなく、
 舞台がそこというだけで、全てが独立したエピソード。
 今回のこれは、かなり気色悪い。
 触感というか歯ごたえというか……一読オススメ。
 近々クリストファー・プリーストの長篇が訳されるそうです。
『からさわぎ』……コニー・ウィリス
 シェイクスピアを授業で取り上げることになり、大騒ぎ。
 その理由は?
 SFじゃあないと思うんだけど、笑える。
 ウィリスらしい小話。
『録音』……ジーン・ウルフ
 幼い頃、大好きなおじさんが、両親に内緒でレコードを買ってくれることに。
 しかし、店に行く途中で、おじさんは苦しいと言って、立ち止まってしまう。
 医者を呼んでくれと言うが、どうしてもレコードが欲しいため、
 お金をくれたら一人で買ってきて、呼んでくると言ってしまう。
 だが、レコード店から戻ると、すでにおじさんは亡くなっていた。
 それ以来、数十年、そのレコードを聴かなかったのだが……
 ショートショート
 あっさりしてるけど、これも良かったかな。


 『デッドフューチャーReMiX』はコンピュータウィルスの話。
 個人的には、かなりしびれました。


 『どろんぱッの時代』
 唐沢俊一霧隠才蔵の子孫と言う話(笑)


 『サはサイエンスのサ』は人造血液。


 『MAGAZINE REVIEW』はインターゾーン
 イマイチ、そそられる話なし。