2005年3月号

S-Fマガジン 2005年 03月号

S-Fマガジン 2005年 03月号

今月は2004年度英米SF受賞作特集


翻訳物は3作
『クッキー・モンスター』……ヴァーナー・ヴィンジ
 ヒューゴー賞ローカス賞ノヴェラ部門受賞
 かなり待遇のいい会社で、カスタマーサポートの職を得たディクシー。
 ある日、お客に対しては名乗っていないはずなのに、彼女宛にメールが続く。
 しかも、その内容は彼女しか知らないこと。
 たちの悪いいたずらに違いないと激怒して、真相を探ろうとするが……
 これ以上は何を書いてもネタバレしちゃいそう。
 個人的には今月イチオシ。「ああ、面白かった」という読後。
『アイスクリームの帝国』……ジェフリー・フォード
 ネビュラ賞ノヴェレット部門受賞
 音を見て、味を匂いと感じる共感覚者の少年。
 ある日、彼を精神病だと思って、監視していた親の目から逃げ出し、
 アイスクリームショップでコーヒーアイスを食べると、目の前に美しい少女が現れる。
 コーヒーは彼の体質に合わなかったが、その後も何度もアイスを食べ、
 彼女のことを見続ける。
 音大に進み、彼女を見ることはなくなったが、
 作曲のために一人きりで小屋にこもり、
 そこでコーヒーを飲むと、目の前に同じように成長した彼女が現れ、なんと話しかけてきた!
 もの悲しいラブストーリー。
 この、刺激に対して、普通とは違う感覚が出力されてしまう共感覚は本当にあるそうで、
 本も出ている。なかなかピンとこないので、探してんだけどね。
 ジェフリイ・フォードは非常に好きな作家。
 と言っても、まだ短篇3作しか読んでないけど……
 プラチナで短篇集出ないかなぁ。
『時の軍勢』……マイクル・スワンウィック
 ヒューゴー賞ノヴェレット部門受賞
 エリーの仕事は、一日8時間、物置を見つめていること。
 何か起きたら連絡するようにと言われている。
 その雇い主は、人を人とも思わない態度に、何とも不気味な容姿をしている。
 自分を奴隷扱いする雇い主に怒り、エリーは預かっている鍵でその物置を開けると、
 そこには見たこともない世界が広がっていた!
 う〜ん。どうもスワンウィックは肌が合わない。
 大昔に『大潮の道』も読んだんだけど、はまれなかったんだよなぁ。


ヒューゴー賞長篇部門はロイス・マクマスター・ビジョルドの『Paladin of Souls』
日本だとマイルズのイメージしかないけど、ファンタジーのシリーズも書いてるのね。
『スピリット・リング』はイマイチだったけど。


ネビュラ賞長篇部門はエリザベス・ムーンの『くらやみの速さはどれくらい』
これは去年翻訳が出た。
素晴らしい作品。


ローカス賞SF長篇部門はダン・シモンズの『llium』
続き物の第一作。早川から出る予定。


ローカス賞第一長篇部門はコリン・ドクトロウの『Down and the Out in the Magic Kingdom』
クローンと記憶のバックアップが可能になった未来。
主人公は150歳になり、夢だったディズニーワールドで暮らすことにしたのだが、
そこで殺されてしまい……
かなり好みのあらすじ。これもハヤカワSFから出る予定とか。


世界幻想文学大賞長篇部門はジョー・ウォルトンの『Tooth and Claw』
竜たちの世界の物語。
これは凄い面白そう! と思ったら、ハヤカワから出るそうです。
楽しみ。


巻末に英米SF注目作カレンダー2003。
文学刑事サーズデイ・ネクスト』は3作目。
今度は使い古されたプロットを組み替えて量産している闇ブローカーとの対決。
早く読みたい!


BOOK SCOOPEでも取り上げられていた『タイムトラベラーズ・ワイフ』は読みたいんだけど、
単行本で上下は金がきついなぁ。


映画は『アレキサンダー』が紹介されてたけど、イマイチな評。
『スッテプフォード・ワイフ』ってとっくにやったと思ってたわ。


『サはサイエンスのサ』は量子コンピュータ
さっぱりわからん。