Mr.インクレディブル



Mr.インクレディブル』を見てきた。


人々を守ってきたスーパーヒーローたち。しかし、ある日を境にそのスーパーパワー故の訴訟問題が持ち上がり、法律的にスーパーヒーロー活動が禁止される。それから15年。元Mr.インクレディブルのボブは、やはり元ヒーローのヘレンと結婚し、普通の市民として、保険会社でサラリーマンをしていた。子どもも三人いて、ヘレンは普通に暮らしたいと考えているが、昔が忘れられないボブ。そんなある日、謎の美女からMr.インクレディブルとして、政府から依頼があるという連絡が来て……


今年一番期待していた作品。
期待に違わぬ傑作でしたわ。
バットマン』のように、監督の趣味がもろに出ていて、アメコミオタクにも納得できて、なおかつ非オタの観客にも受け入れられる、という奇跡的なバランスを持った映画。


ウォッチメン』世界の『ファンタスティック・フォー』一家の話、という感じかな。
もっと『ウォッチメン』寄りかと思ってたけど、ああいう陰鬱な雰囲気はあまりなくて、むしろ『ファンタスティック・フォー』一家が一般市民になったら、というパロディ作品。


SFオタクがやってみたいことを撮ったのが『スターウォーズ
ファンタジーオタクが見てみたかった合戦シーンが『ロード・オブ・ザ・リング
で、アメコミオタクが、心の中では、その能力、実際あったらどうなの?
と言うのを払拭したのが『Mr.インクレディブル


正直言って、今まで、ミスター・ファンタスティックのゴムみたいな体ってどうよ?
フラッシュの足が速いだけってどうよ?と思ってたんだけど、スゲー強いじゃん!ママ最強!スーパーヒーローの超能力をこれほど、様々なバリエーションで見せたものはないでしょう。特にフォースバリアの使い方が秀逸。氷の能力を持ったフロズンがスケート選手のように登場するシーンが涙。カッコよすぎ。結婚式のシーンが『マーヴルズ』みたいにヒーロー仲間があの格好で来ているのにも涙。引退後、警察無線を傍受しながら、昔の活躍を語り合うボブとフロズンにも涙。ボブの書斎にも涙。


個人的には、もっとダッシュやヴァイオレットの話も見てみたかった。
シンドロームがイマイチ魅力がなかったから、もうちょい書き込んで欲しかった気も。
Mr.インクレディブルの若かりし頃の話とか、ヴィランたちはどうしていたのか? とか。
ダークナイト・リターンズ』みたいに落ちぶれたボン・ボヤージュとか見たかったなぁ。
CMであった着替えシーンはないので、DVDに入るだろうから、買わないと。
『2』を作るにしても、ピクサーとは契約切れるから、どうすんだろ?
ちなみに、ディズニー臭さが皆無。人死にまくるし。
ウォッチメン』のダラー・ビルを出すまでもなく、マントは危険と言うことがよくわかる映画(笑)


監督は世のオタクを涙の海に沈めた『アイアンジャイアント』のブラッド・バード
やはりツボ押さえてるよ!
いや、やはりオタク映画はオタクが撮るのが一番(笑)


それから、映像は素晴らしい。
人間はCGアニメではタブーと言えるほどの難関。
Mr.インクレディブル』のキャラクターは、
みんなディフォルメのかかった描写なんだけど、それがまるで気にならない。
チキン・リトル』のCMがやったんだけど、物凄く影が気になったのに対して、こちらはまったく自然。光源とか上手いんだろうなぁ。
表情も非常に豊かで、これに比べると『シュレック』はちょっと硬い感じがするかな。
タイツが水に濡れて体にぴたっと張り付く質感とか、ホントに素晴らしい。
ピクサー凄いよ。
このCG版『ウォッチメン』を撮るために今まで力を蓄えてきたのか(笑)


これからやる『ファンタスティック・フォー』がかわいそう。
これ以上を実写でやんなきゃいけないんだもんなぁ。


人妻のお尻萌えにも、
南海の孤島の秘密基地萌えにも、
引退したアメコミヒーローの悲哀萌えにも対応する傑作。
オススメ。